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村上隆の五百羅漢図展 [■ART]

●HP・・・http://www.mori.art.museum/contents/tm500/

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仕事の関係で森ビルに伺った際、タダ券があったので、村上隆の同展覧会に行ってみました。

目に飛び込んできたのは、色・色・色。
50mという巨大なカンバス(基盤はカンバスじゃないかもしれないが)に、これでもかとあらゆる線が蠢き、無秩序なパワーがほとばしっていた。

五百羅漢を描いているのに神聖さは全く感じず、寧ろ禍々しいほど。
人間という体から解脱するというよりも、「衆生を救う」という欲に捕らわれた如何わしい怨念が描かれていると感じた。

素材や技法はアルミニウムを使用したテキスタイルパターン、漫画に使われるようなスクリーントーンもあれば、雲母のような岩石に似たきらめきを持つラメもふんだんに使われている。
ちなみに百羅漢は四千枚のシルクスクリーンを使用しているという。

制作風景の展示もしていたが、輪郭だけ描いて中をパソコンで塗り込むという塗り絵の様な作業が主で、作業する学生ら向けに色ぬけを指摘するゲラなどがあり、絵画工房というよりは印刷所の風景を見ているようでした。

村上隆は手塚治虫や宮崎駿をリスペクトていて、火の鳥をイメージした朱雀やシシ神らしき魔性の動物もよくみると存在。
目黒の五百羅漢像の彫刻群に感銘を受けた私は、「本当に五百体いるのか」と不躾な質問を学芸員にしてみた。
ちゃんと意味を持ち考えて一体一体描いているとのことで、中でもお気に入りの一六人だけ一際大きく描かれているそうです。
カタールで最初の展覧会を行ったのは3.11の支援お礼のため。 玄武の部分は未完成だったが、今回完成したそうだ。

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五百羅漢よりもひときわ目を引く【宇宙の産声(↓写真)】は、金箔にFRPという強化プラスチック作品。
これは達磨がモチーフということだが、はっきりいってそう見えない(笑
【サクラダ・ファミリア】のように、永遠に完成しないオブジェだそうで、その造形は自己増殖するモンスターのようだ。
下で世界を支えている亀は苦しみ喘ぎ、世界はいまにも倒れてしまいそう。
世界を救う達磨自身が救いを求めているようだ。

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外には狩野一信、長沢露雪の五百羅漢像が展示されていた。
今回の展覧会に着想を得たという狩野一信の掛け軸は、増上寺で前期後期にわけて公開されています。
パソコンなどで修正できる現代よりも、書き直しのきかない肉筆で着色する時代の方が凄みを感じる。
●HP・・・http://www.zojoji.or.jp/takara/event/


そういえば、カイカイキキの敏腕経営者、笠原ちあきさんがTVなどで語っていた村上を少し思い出したので、記しておこうと思う。

・昔から、宮崎駿のことを「心の師匠」と呼んでいる。
・スタッフを抱えて大規模なスタジオ経営しているアーティストは村上隆だけ。
・笑いとシリアスを混同した日本のアニメの持ち味を生かしている。村上は現代美術と古美術を合わせたキャラクターを現代美術に持ち込んだ初のアーティスト。
・日本画の博士号を芸大で取得。 休日も絵のことばかり考え、家にもほとんど帰らない。お酒も飲まず、もっぱら飼っている犬で癒されている。イヤホンをしているときは絶対に声をかけない。

などなど誉めちぎりですが、16世紀のフィレンツィエなど膨大な職人を抱えた工房がヨーロッパでは連綿と続いてきたことなど考えると、なんかそんなに偉そうに語ることでも…と思ってしまった。
まあ、芸術の黄金期とくらべるなよ、と言われればそれまでだけど。

世界で評価されても、私はやっぱり好みじゃない芸術家だと再認識した一日でした。


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by お名前(必須) (2016-02-11 07:45) 

PineWood

ピカソの(ゲルニカ)に当たる大作(五百羅漢像)だが、モノクロームのピカソそれとは違い、ポップな感性で村上隆は何も語りはしない。手塚治虫、水木しげる、宮崎駿アニメのグロテスクなキャラなどへのオマージュがあるのは、既存の美術界の伝統的なアートの評価を覆したいからなのだろう。日本絵画の古典を踏まえたパロデイで果敢に挑戦するところに算盤ずくと無の境地が共存するアンビバレントさがあった。
by PineWood (2016-02-11 07:58) 

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