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ミュシャ展 [■ART]

●HP・・・http://www.mucha2017.jp/slav/


アール・ヌーボー期の華やかなポスター画、リトグラフも展示されてはいますが、今回は長大で超大なスラヴ叙事詩がメイン。
スラヴの原始的な神々に関しての知識は皆無ですが、ギリシャ神話の神々とそれほど遠くはなさそう。
スラブ叙事詩はローマ帝国やオスマントルコなど、長い年月ずっと戦禍に飲み込まれてきたチェコの受難を描いた作品。
カトリックと反目した東方正教会の、宗教戦争の歴史ともいえるのかな。
「オーソドクス」は日本でもよく使われますが、正教そのものを指す言葉でもあり「正統の, 正しいと認められた」という意味。

ミュシャはアール・ヌーボーの観点で語られがちですが、よくよく観察してみると人物の立ち方、聖人の輪をイメージする円のモチーフなど、ビザンティン美術の影響も受けている気がします(個人的感想です)。

ビザンティン美術は、東ローマ帝国で栄えたキリスト教美術。首都コンスタティノポリス(コンスタンティノーブル)の旧名ビザンティオンに由来します。ローマ帝国が330年にここに遷都し東西に分かれ衰退するまで千年近く都であり続けました。
東ローマ帝国は縮小の一途をたどっても、
コンスタティノポリスだけは最後まで残ったんですよね。

正教がカトリックと反して、煉獄などの教義を受け付けない立場をとっているからなのかどうかわかりませんが、私見では「頑固一徹」という言葉を連想させます。

人物も直立不動の平面的なポーズに、背景は主に金色を使った厳かで堅苦しいイメージ。
そこに
ササン朝ペルシアなどの中東っぽさが加わって不思議な雰囲気なんですよね。眉毛も太くて。

叙事詩を描くきっかけになった民族運動、「汎スラブ」という思想は、ユダヤ人の「シオニズム」運動に通じるものを感じます。本来は肉体的関連はない「スラブ語圏」の民族の連帯を訴える運動だったようで、正確にはスラブ語圏の民族すべてが共通の祖先を持っていた事実は無いようです。

作品は巨大なのでオペラグラスを持っていたほうがいいと思います。
テレビ番組でも解説されていましたが、物語の主人公はスラブ人そのものであり、群集の表情すべて個性的です。
それをあますところなく観察したければ、オペラグラスは必携だと思います。
そしてすべての作品に視線を鑑賞者に投げかける、印象的な人物が描かれています。
戦争が終わっても困難が待ち受けていることへの不安や怒りが伝わってきます。
それらは主題になっている人物ではないので、主題になっている人物はどれかを探すのも一興だと思います。
ミュシャは第二次世界大戦が始まった際、ゲシュタポに逮捕され投獄中に死亡してしまいました。
スラブの歴史を通して、平和と自由を訴えた彼の作品。
時を超え、チェコ国外で公開されるのは初めてというこの日本で、どう受け止めるかは私たち次第。
この大作を心に焼き付けて、忘れないようにしたいです。

ちなみに休日は開館前に並び、チケットはインターネットで購入か、チケット屋などで購入すべし。
当日はチケット売り場だけで30分以上並びます。


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↑作風は一番幻想的。初期ローマに蹂躙されるスラヴ人
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↑手前の影になっている人物群が象徴的。暗いのに浮き上がって見えるslav01_15.jpg
↑聖書がスラヴ語で書き直されて出版される喜びを描く。左手前のおじいさんの隣が若い日のミュシャ
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↑停戦の約束を反故したローマ教皇(左)と椅子を倒して怒るスラブの王(右)
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↑正教会の聖地、アトス山の修道院。壁画には聖母子

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↑唯一の未完品だそうです。スラブの神が見守る中、自由を謳歌する民衆

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