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最後の一本 [ドキュメンタリー]

満足度★80点

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↑三つの単純な形状で表せちゃう。ミッキーマウスと同じだね


世界で唯一のほ乳類ペ○ス博物館、人類第一号になるべく最後の一本をかけた闘いは、大笑いのあと、意外にも人生ってうまくいかないもんだな…とちょっと、というかだいぶしみじみしてしまう作品だった。
いくらペ○スが縮んでしまったとはいえ、アイスランドで冒険家として名を馳せているアランより、自分のペ○ス「エルモ」を有名にしたいと言って憚らないトムの方が、真面目で不器用で、なんだか可哀想。
人生に満足してない人はたくさんいるけど、彼が初めて見つけた生き甲斐が今回のエルモだったんじゃないかと思うと、ああ胸が痛い…。

しかもアメリカ人なのに、コーヒーじゃなくてティーバッグを好んでいるあたり、結構紳士なんじゃないか・・・(根拠薄)。

割と最初から勝ち目のないトムが、あれやこれやと夢を広げていく過程で、ぶつかる意外な障壁。
健康な部位を切除するために、法的にクリアしなくてはならないことが、結構あるのね。

しかしあれだけ奔走したにも関わらず、モタモタしている間に出し抜かれた(というかライバルのアランが死んでしまった)通知を受けたときの彼のショックな様子、言い様のない哀しさ。人生うまくいかないなぁ…。あぁ、もどかしい。

ところでエンドクレジットのエルモの漫画、結構な完成度だったのだけど、どこかで掲載されたのかな?それとも未完なのだろうか。

ちなみにアイスランドの「法的な長さ」は13センチ(だったと思う)、女性は案外挿入でイケないもんよ。
愛情と手…でなんとかなると思うから、そんなに気にする必要ないと思うけど(笑)



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それよりも、観賞後のトークショーがあって、面白すぎて本編の印象が薄れてしまった(笑)
「その日、ペ○スはエンタメになっ た~ペ○ス映画闘争史~」

〔開催日時〕 8月12日(水) 20: 45の回 上映終了後
〔登壇ゲスト〕 村山章さん(映画評論家)

要するにペ○スをが映りこんでしまったというか敢えてペ○スを撮った映画について、いつから日本でボカシがなくなったかという映画史を展開(笑)。パワポでスライドショーしつつ・・・というプレゼン方式ですな。

何章に分かれてたか忘れちゃったけど、「ペ○ス黒船到来」とか、「ペ○ス革命児」とか。
ボカシの定義は、要するに「エロい行為において、エロい気持ちを換気させる」つーこと。

その曖昧な映倫を困惑させた革命児はスピルバーグ。
なぜかというと、【シンドラーのリスト】や【アミスタッド】で裸をバンバンぶちこんでいるが、いくら映倫さんでも、恐れ多くも迫害シーンをエロには定義できないだろうと。
ということで、スピルバーグはアート系作品はチ○コOKという革命を起こしたとか(笑)

下半身を出すのが好きな俳優では、ハーベイ・カイテル(ピアノ・レッスン)やケビン・ベーコン。

時間がなく配給会社員からストップがかかって、最後までスライドを見せてもらえなかったのが残念(本人は至ってやる気だったが)。慣れないパワポで一生懸命プレゼンしていた村上さん、ご苦労様でした。

「女性のためにティンコを映す時代!」でセックス&ザ・シティが紹介されたのは嬉しかったなあ。
サマンサ垂涎のイケメン・シャワーシーンは、私もリモコン操作で一時停止したもの(笑)

しかし映倫がいかにも日本人的曖昧さでいい加減に対応してきたかがわかるなぁ。

ライフ・オブ・パイ [サバイバル]

満足度★85点

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 [Blu-ray]

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: Blu-ray

■虎に投影された少年の心とは

虎と漂流することになった少年のサバイバルを描いた感動の冒険譚、というイメージを根底から覆す後半の展開が物凄い。

生き延びたパイが作家に語る漂流記という形式。
第一の物語はパイの少年期の生活、船に乗る経緯と難破、そして虎とパイがいかにして共に漂流したか。そして、その話を信じなかった日本人保険員に語る第二の物語は「人間たちとの漂流記」。

この話では、漂流したメンバーは、パイ、パイの母親、貨物船でベジタリアンの母親に執拗に肉を出し続けた陰険なコックと、足を負傷した日本人船員の四名。

どちらの話を信じるかは聴き手に委ねられている。
しかしこの第二の漂流記が真実であるとする方が、この話は何重にも深い重みを増してくるのである。

興味深いのは、仏教徒の船員は自己犠牲の象徴、ベジタリアンの母は戒律者、無宗教であろうコックは宗教に縛られず本能のまま振舞う。前日に肉入りの食事を拒否していたパイ一家は、空腹に空腹をかさねていただろう。 私などは、いただける命に差をつける一神教に疑問を感じてしまう。 とにかく皮肉にも、宗教が命を脅かす枷となったことはたしかだ。

虎の行動を一人残ったパイに置き換えるとすると、彼もまた人食の禁忌を犯し、ネズミを食べ、魚を食べ、戒律を無視し、母親を殺した憎きコックと同じように外道に堕ちてしまったことになる。

彼の罪悪感や狂暴性が虎の姿を借りて語られていたとすると、最初は生き残ることに必死で(凶暴で勢いのある虎)、そのうち自分の罪や宗教について逡巡し(筏にのったパイ=良心/ボートにのった虎=罪悪感)、死を意識する(クリシュナの姿とも言われる謎の島の出現)、辛い現実と罪をおかした自分を受け入れる(衰弱した虎に寄り添うパイ)…と、心の変遷を辿ることができる。

キリスト教、ヒンズー教、イスラム教の3宗派を学問していたパイにとって、生きることに果たして宗教は役に立ったのか?というのがこの映画のテーマなのかもしれない。 私見だが、結局、宗教は枷にもなり生きる依り代になったとも言える。
コギトエルゴスム(我思う、故に我あり)ではないけれど、人は考えることによって自己を確認する生き物なのであれば、パイのように深い哲学的思考をすることができなければ、延々に続く時間というのは苦痛でしかない。 自分の状況を神が与えた試練と捉えれば、一つ一つ乗り越えるたびに喜びが生まれ、また目的意識も生まれる。雷や鯨は神々しいまでに生き生きと感じられ、恐怖心は遠ざけられる。
虎が雷に怯えたのにパイが怯えなかったのは、彼が恐れや執着を克服した境地に近づいていたことを示していたのかもしれない。

いくつかの謎は残る。わざわざ非常食を筏に移したことは真実か虚構かわからないが、私はあえて非常食を自分の目の届かないところに置くことで、ギリギリまで自力で食料調達する意思を持続させようとしたのではないかとも思った。

また、あの謎の島ですが「無人島」説と「心のビジョン」説の二通り考え、結局前者なのかなと。 要するに無人島に到着して取り合えず食料調達ができ、安堵したパイはうっかりずっとここにいてもいいかな…と思ってしまった。しかし、同じような漂流者の亡骸を見つけて、もう一度危険な大海原へ出て元の世界へ帰ることを選んだと。

宗教的知見が足りないので、なぜ歯だったのか、酸の海やミーアキャットは何を比喩していたのかなど考察は足りないが…。
そもそも漂流記はまったくの架空で、彼の宗教を求める旅という解釈もできる。

酸の海は子宮の暗喩、という考察を見かけたこともある。
それを飛躍すると、たくさんのミーアキャットは精子で、そのときのパイは恋人のことを思いだしながらマスターベーションをしてしまった…何てことも考えてしまった。危機的状況のなか、そんな煩悩でさえ追い払えない自分の穢れから脱却したいことが島からの脱出につながったのかも、と。 まあこれは飛躍しすぎたと思いますが。

パイと虎との別れですが、人間性を取り戻したパイが罪悪感と決別したとも、ようやっと自分を憐れむ余裕ができ、家族のこと、一人になってしまったことを嘆いていたとも受け取れる。

とにもかくにも、パイの話を証明する人間がいないので、どちらが真実かは受け手が決着をつけるしかない。
話を聞きに来た作家も、当時の保険員も、パイの最初の話を信じた(ふりをした)。
嘘はつき続けていれば本物になる。
どちらの話が、皆にとって幸せなのか…真実はパイのみぞ知る。


エリジウム [SF]

満足度★65点

エリジウム [Blu-ray]

エリジウム [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray


■ 社会の構図がただあるのみ


「第9地区」もそうだが、今回も人物描写に善悪の明確な区別はなく、混沌として複雑な社会構図が、ただそこにある。

どれもこれもが
ピカピカしたメタリックな素材でできた未来ではなく、アナログさと最先端技術が混在した街の様子がリアルだ。
かさついた空気の悪い都市は色を失ったセピア色。着るものや住環境は全く進化してないのに、一部分だけ妙に突出した物があるのは、扇風機パソコンが同居
している私たちの生活の延長線上のようで、簡単に受け入れられる。

むしろ、なんら進歩のない格差社会が、来るべき未来の様子なのかもと想像してしまい、気持ちが萎えたほどだ。

簡単に治療できる技術があるにもかかわらず、低所得者にはその技術は施さない。
それを行うと貧富のバラ ンスが崩れてしまうから誰も行わないという、人間には絶対の不平等が横たわる社会の図式に、考えさせるものがある。

スラムのギャングたちに、外科の腕が抜群の者がいたり、エリジウムのメインサーバのスクリプトを書き換えられる者がいたり、また、簡単に大気圏を突破できる宇宙船や、簡単に離着陸できるエリジウムなど、構造的に突っ込みどころが多いのが難点。

また、感情移入の要素を廃したあまり、主人公マックスに肩入れできなかったのも事実。
そのため政府の足となる拝金主義の傭兵(本当にゲス野郎だった)との一騎討ちもあまり盛り上がらず、惜しい。
結末がヒロイックなだけに、もう少し感情に訴えてもよかった。

エリジウム高官のジョディ・フォスターも特に見せ場なく、死をあっけなく受け入れる様子が、それまで頑なに低所得者を排し超寿命に固執してきた姿に似つかわしくなく潔いので、多少困惑。

とはいえ、ただ初恋の人との未来を儚く夢見たマックスの、刹那的な人生を見届けた後に去来した虚しさは嫌いじゃない。
見逃したチャッピーも、きっと面白かったのではと、 期待が寄せられる。