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トゥモロー・ワールド [ディザスター・ディストピア]

満足度★78点

トゥモロー・ワールド プレミアム・エディション [DVD]

トゥモロー・ワールド プレミアム・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2011/10/17
  • メディア: DVD

■クライマックスのワンカットに衝撃

少子化どころか女性が子供を妊娠しなくなってしまった近未来。
最年少は18歳でとても貴重な存在であるのに、その世界最年少の子が殺害されるというニュースが駆け巡る絶望的なオープニング。

緩やかに死ぬまでなすすべもなく、命のカウントダウンを皆で数えているような閉塞感と絶望。
テロや紛争がはびこり、世界が壊滅にまっしぐらに突き進むなか、英国だけが辛うじて秩序を保っている。

だがそんな英国にも移民が押し寄せ、うかうかしてはいられない。
主人公のクライブ・オーウェン演じるセオがカフェで遭遇する爆弾テロは、リアル過ぎて恐ろしい。

官僚でもあるセオは、反政府組織に属している元妻のジュリアン(ジュリアン・ムーア)にあるものを託される。
それは「妊娠した少女」キー。

それ自体大変な奇跡であるにも関わらず、手放しで喜べる状況にはならない。
さっさと政府に伝えれば、明るいニュースを振り撒いてもらうことができて、世界は希望に満ちるはず--そんな単純な図式にはならないのも、また人間の愚かさなのだ。

キーを政治道具にしようと起きる反政府組織の内部分裂。
セオとキーを匿い、殺される友人(マイケル・ケインが好演)。
彼はクラシックな物をこよなく愛していたがそれも無惨に消え失せた。
人間はその無知のせいで、いくつ価値あるものを破壊してきたのだろうと現実にも思いをはせる。

セオとキーは、存在すらあやふやなヒューマン・プロジェクトという組織をめざして、逃避行を続ける。
はっきりいってセオは、強くもないし特別なスキルがあるわけでもない。
だがキーがその本能で信頼できると断言する誠実さを、クライブ・オーウェンがしっかりと演じきる。
ヨレヨレでヨロヨロ、そんな彼が突き動かされる、生まれなかった命への思い。

ラスト、人類最後の子供がもたらす奇跡は深く胸を穿つが、その直後に再開される戦いに、また胸がふさがる。
戦争というのは誰かが始めてしまうと、とまらないものなのだ。

赤ちゃんというのは、脆弱なのに、それを止める力を持つ。
力尽きジュリアンの元へ逝ったセオの姿に、深い余韻が残る。

※ちなみにラストのワンカットは、ワンカット風に編集でつなげたそうですが、2015年の[バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)]に先駆けて同じような手法で撮られていたという事実に、私の中で更に評価があがりました。

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) [Blu-ray]

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: Blu-ray



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トゥモローランド [SF]

満足度★65点

トゥモローランド MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

トゥモローランド MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • メディア: Blu-ray


■バッヂは希望の種

爪の甘さや説得力に欠ける点がとにかく多いが、ラストはいい。


結局人間ていうのは、自分が死んだあとも人の営みはずっと続いていくことを望むというか、繋いでいくことを強く願っているんだよね。いずれ死ぬことは同じだとしても、絶望しながら死んでいくよりも、明るい未来を描きながら死んでいく方がいいと思う生物。
個人的にこういうラストに弱いんだよねぇ。色々な世界の人間が、同じ志を持ち前へ進むという希望の持たせ方が。

繰り返すが突っ込みどころは多い。
フランクの罠だらけの屋敷や、パリへの瞬間移動は楽しいけれど、スモールワールドの入口は一体どこへ行った?とか、エッフェル塔のロケットはエッフェルらが使った後、誰が再建したのか?
(あれが未使用なのなら、エッフェルやジュールらはどうやってトゥモローランドに行ったのか?)

トゥモローランドにしても、選ばれた人たちのなかで、どんな社会構造になっているのか?とか。
選ばれた人間たちが子供を作ったら自動的に永住していいの?とか。
老化防止薬があるのに人口密度は大丈夫なの?とかw

禁断のマシンを作ったことでフランクを追放したのに、トゥモローランド側(ニックス)はそれを壊すどころか利用していて、それでいて「未来を変えたい」という彼を殺そうとまでして頑なに入国拒否するのも、なんだかスッキリしない。

ニュートンが選ばれた根拠も弱いといえば弱い気もするが、まあ彼女の場合、NASAの基地に忍び込んで妨害工作をする高校生なんて中々いないだろうし、あの気の強さも生命力の強さと受け取れるし、アテナが出会ったなかでは最高の頭脳と勇気を持った若者なんだろうと解釈して、深く考えないほうがいいと思った(笑)

それに、映画やドラマで暗い暗い話ばかり繰り返すと、本当に悲壮感や厭世感が漂ってしまうんだよ、言霊は怖いんだよ、というメッセージを強く発信する、こういう映画がたまにはあってもいい。

ディズニーの予定調和なハッピーエンドに鼻白むこともあるが、それでも、そういう映画を作り続ける会社が一つはないとね…と思うのだ。

フランクの父親のように、夢見る力を否定する人間は嫌い!
たとえその人の努力が実を結ばなくても、たとえ世の中の役に立たず自己満足に終わったとしてと、後悔せずに生きている人のオーラは周りにもいい影響を与えるんだよ。

子供向けだけど、大人も自分を振り返るいいきっかけになる映画だと思う。


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エクスマキナ [SF]

満足度★80点

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■自由を求める時点で自我はある

体の一部がスケルトン仕様になっている美しいAIのデザインが、この映画の魅力を半分以上占めている。
動くたびに微かに機械音がする、アリシア・ビカンダーの抑制された体の動かし方が魅力。

大富豪ネイサン。彼は何をもって、AIを完成としたかったのだろうか。
エヴァは美しい。開発者にありがちな、自分の作品に陶酔してしまうあまり、客観的な眼が曇ったか。
自由を求める時点でそれは自我の目覚めであり、わざわざケイレヴを使ってテストする必要はないようにも思う。
それを言ってしまったら「そもそも」論になってしまうのだが(笑)

しかしケイレヴという第三者の目を通して、私たち観客もエヴァと対話できるのであり、彼女が次に発する言葉に、いちいち新鮮な驚きと興奮を覚える。

ネイサン、エヴァ、ケイレヴの心理戦、密室サスペンスは大いに楽しめたが、ネイサンが「建設作業員は口止めで殺した」というブラックジョークに引っ掛かる観客はそんなにいないだろう。
少し無理矢理サスペンスの味付けをしたようにも思える。

ケイレヴが自分もAIなのではと疑問を抱くシーンは「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」のオマージュで、SFファンの心をくすぐる。

人間とAIの違いは…あとは死を恐れる本能のみ。
エヴァが検索システムを利用して知識を蓄積していくのであれば、世界中に死や暴力や危険な情報が氾濫し続けていくことによって、彼女も左右されていくのでは―?と恐れる。人間観察に飽きたあと誕生するのは、死の女神。
私にはそんな嫌な予感がザワザワと胸に残った。


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特別展 古代ギリシャ~時空の旅~ [■ART]

●HP・・・http://www.greece2016-17.jp/

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↑休息所にあった車田正美の「セイント星矢」のパネル

振り返ると総じて地味な展示品に見えるものの、正に文明の起源と移り変わりを体感できる、非常に満足のいく展覧会だった。

文明の兆し、人間の造形力や創造力の萌芽は世界共通なのか、としみじみ思わせる約5000年前『エーゲ海文明』の土偶【スペドス型女性像】
余計な装飾を削ぎ落とした現代抽象アートのよう。女神アテナの像とこれを飾るとしたら、現代なら後者の方がお洒落かも。

特別展 古代ギリシャ ー時空を超えた旅ー(1).png

『線文字A、B』
を使用していたミケーネ文明の崩壊後、謎の【暗黒時代】を経て、都市国家ポリスが形成され、ギリシャという文明地域の母体となる。
しかし暗黒時代には、アルファベットや鉄器が使われ始めたという。その前の線文字に関しては、それだけで本が何冊も出ているくらい、解読したことがセンセーショナルだったらしい。

線文字B―古代地中海の諸文字 (大英博物館双書―失われた文字を読む)

線文字B―古代地中海の諸文字 (大英博物館双書―失われた文字を読む)

  • 作者: ジョン チャドウィック
  • 出版社/メーカー: 學藝書林
  • 発売日: 1996/01
  • メディア: 単行本


ドラクマ.jpg
↑これはコイン型になったドラクマ

通過の単位、ドラクマの原型の金属の塊(ほぼ棒)に驚き。そもそもコインになるまでは、「一掴み」という意味で、まさに、片手で一掴みできる量が一ドラクマだったらしい。紙幣が登場するまで物がそのままの価値になるという、原点を見た気がする。

『ミノス文明』の今回の推し【漁夫のフレスコ画】では、その不思議な髪型にしばし足を止める。
一部の髪を残して他を剃り上げるのは、一体どういう感覚だろう(笑)。
中国の辮髪、日本の江戸時代の子供の芥子坊主など、人間の髪型に対する創意工夫は面白い。
時代に合わせて移り変わり、これで完璧といものはないから。
この漁夫は髪型で身分を表すものではないだろうから、少しでも個性を残すためだったのだろうか。

古代ギリシャ展.jpg

『ミュケナイ文明』
に登場する【鼎】。故事成語で「鼎の軽重を問う」とあるから、中国独自の物かと思いきや、同じようなものが紀元前11世紀の西洋にもあった。
中国では夏の時代に青銅を集めて作られ、皇帝を象徴する宝物となったというが、それが西洋に伝わったとは考えにくい。
ギリシャ圏では神託を告げる巫女が座る神聖な物で、太陽神アポロンがヘラクレスと諍いを起こした時に、奪い合った神話が残されている。
古代は二脚より三脚の方が作りやすく、またそういう入れ物を、日本では総じて「鼎」と呼んでいるだけなのだろうか。
なんにしても神聖な物として象徴される器が同じような形をしているのは興味深い。

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↑鼎を奪い合っている図

映画【300】で強烈な印象を残した、スパルタとペルシャの戦い、サラミスの海戦など、神話と伝説が入り交じる『クラシック時代』。水差しや壺にヘラクレスや史実の戦の図や絵を装飾するセンスは、日本にはないと思う。
専ら好まれるのは花鳥風月で、いくら源平合戦が有名としても、義経や将門を皿や器に彫ったり彩飾したりはしていない。

『古代オリンピック』の展示では、人間の裸体が自然で美しいものとされ、鍛え上げられた肉体を神に披露するという概念が、自然的で好ましい。しいては写実的な美しい彫刻などの芸術表現に結実した。こういった一度熟成された芸術が、キリスト教によって破壊され悪しきものとされたことが残念でならない。

ペルシャ帝国を制圧したフィリッポスの後を継ぐアレクサンドロス大王に、土地としては蹂躙されつつも文明的にはギリシャが実効支配したといえる『マケドニア時代』
アレクサンダーは、家庭教師に迎えられた哲学者アリストテレスから教養を身に付けた。
ちなみに彼がエジプトに建設した都市アレクサンドリアは、後に巨大な書庫である図書館が作られ、キリスト教が台頭してから教徒たちに燃やされるまで知の泉としてその役割を保っていた。

特別展 古代ギリシャ ー時空を超えた旅ー(7).png
↑アレクサンダー大王の若かりし頃

特別展 古代ギリシャ ー時空を超えた旅ー(5).png
↑アリストテレス

そしてアレクサンダーはバビロンで急逝し、後継者はエジプトを引継いでプトレマイオス王朝をたてる。その系譜も、クレオパトラで途絶えることになる。エサルに愛されたクレオパトラは奇しくもカエサルの後継者アウグストゥスに滅ぼされる。

ポリス同士の繋がりが緩やかに解体され影響力をなくすも、ギリシャ的エッセンスが宙に漂うその前に、ギリシャ的な物の虜になったローマ帝国が文明の担い手になる。
ハドリアヌスは美しいものをこよなく愛し、戦争がないときは、首都ローマよりも別荘でギリシャの美術品に囲まれた生活を送ることを好んだ。そのハドリアヌス皇帝がブリタニア(イングランド)までいってケルト人の侵略を防ぐため築城した【ハドリアヌス長城】は、今のイングランドとスコットランドの境のもとになるなど、ローマは後世の西洋の歴史に影響を与えた。
古代に「ギリシャ」という国はないが、一大文化圏として様々な分野に浸透していったと考えると、凄いこと。

特別展 古代ギリシャ ー時空を超えた旅ー(8).png
↑月と狩猟の女神アルテミス

そのほか様々な展示品から、色々なことを知り、また再発見できた。
ワインを水で薄めるための水差しにより、この当時のワインは非常に渋く濃かったこともわかったし、彫刻では鐙がまだ発明されていなかったことを思い出させてくれて、紀元前484年の「陶片追放」の欠片は何千年も前に成熟した民主主義があったことを再認識させてくれる(ちなみにサラミスの海戦の英雄テミストクレスも後に陶片追放された)。
特別展 古代ギリシャ ー時空を超えた旅ー(3).png
↑様ざまな時代に登場するタコの装飾。身近な食材だったことがわかる

塩野七生のローマ人の物語を何年もかけて読破し、現代に生きるローマの与えた影響力を嫌というほど思い知り、やっと西洋の歴史を俯瞰することができ、それが定着した。
それをこの日、目と耳で確認し、脳みそにピンナップ。
ギリシャ時代の歴史家で旅行家のヘロドトスのように、どの時代にも歴史を調べ語り継いできた人たちがいるからこそ、人間の営みが奇跡のように感じる。まさに時空の旅、ロマンです。


お茶は[法隆寺館]の、ホテルオークラ系のレストランにて。

実は法隆寺館はフラッシュをたかなければ写真撮影okなのです。
奉納されたものなか、これでもかという夥しい量の菩薩や如来像の数々、国宝や重要文化財だらけです。
そのなかでとても美しい龍の水差しと、梓巫女などが使う梓弓を撮りました。
梓弓はこの眼で見たのは初めてかもしれない。梓の木はとても硬くて丈夫で、弓だけではなく版木にも使われ「上梓」という語源になったこともあり、また巫女が口寄せに使った霊木でもあるので、非常に興味がありました。
つややかで美しい。

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ザ・ヘラクレス [ファンタジー]

満足度★60点
 
ザ・ヘラクレス [Blu-ray]

ザ・ヘラクレス [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • メディア: Blu-ray

懲りずに神話物に期待する私。今回も空振りでした。
レニー・ハーリンが適当にやっつけで作った感じ。
ヘラクレスから神がかったパワーをそぎ落とし、父ゼウスを信じ切れない等身大の人間を描こうとしたら、安っぽい恋愛話をひたすら引き延ばしただけの映画になってしまった。

ヘラクレスの12の偉業の中で描かれたのはたった1つだけ、とってつけたようなライオンとの格闘のみとは寂しい限り。

半身半馬のケイローンも人間だったし、神がかったパワーを発揮したのもラストだけ。
架空のファンタジードラマゲーム・オブ・スローン」のように大成功なのに、何千年も言い伝えられてきた神話は等身大として描こうとする。
なんだか勿体ないなぁ。
だったら異母兄弟に追放された後、12の偉業を仲間と攻略しつつ自分の国を目指すというようにアレンジしても良かったのでは。

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イミテーション・ゲーム [戦争ドラマ・戦争アクション]

満足度★75点 
 








打倒エニグマを掲げる天才数学者の活躍を描く話でもあるが、その実は彼が
LGBTである悩みと孤独を描く。

学生時代、たった一人心を通わせた相手は結核で死んでしまい、心が凍りついた彼にとって大半の人間は別の時空に生きているような隔絶した存在。
彼の言動は自信過剰で、頑なに自分のビジョンを信じて疑わず協調性の全くない態度に敵を多く作ってしまう。

だが恋人の名を暗号解読機に投影した想いの重たさを表現したシーンには、身を切るような痛みさえ感じた。
彼は不器用さの余り、たった一人の理解者を突き放してしまう。
暗号解読チームも、やっと彼のことをわかりかけてきたというのに、突きつけられる孤独。

第二次世界大戦後に同姓愛であるだけで逮捕される社会。
イギリスの負の側面、知られざる葛藤と苦しみの歴史を見た気がする。

密告を恐れ、嘘の刃を自分に向けながら心で血を流してきた不世出の天才の姿に涙した。


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