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エクスマキナ [SF]

満足度★80点

エクス・マキナ [Blu-ray]

エクス・マキナ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • メディア: Blu-ray
スケルトンのデザインと、動くたびに微かに機械音がする美しいAIそのものが、この映画の魅力。

アリシア・ビカンダーの、抑制された少し人間とは違う体の動かし方がいい。


大富豪ネイサン。彼は何をもって、AIを完成としたかったのだろうか。
エヴァが自由を求める時点で自我は目覚めており、わざわざケイレヴを使ってテストする必要がないようにも思う。それを言ってしまったら「そもそも」論になってしまうのだが(笑)


しかしケイレヴという第三者の目を通して、私たち観客もエヴァと対話できるのであり、彼女が次々発する言葉に、いちいち新鮮な驚きと興奮を覚える。

ネイサン、エヴァ、ケイレヴの心理戦、密室サスペンスは大いに楽しめたが、ネイサンが「建設作業員は口止めで殺した」というブラックジョークに引っ掛かる観客はそんなにいないだろう。

少し無理矢理サスペンスの味付けをしたようにも思える。


ケイレヴが自分もAIなのではと疑問を抱くシーンは「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」のオマージュだと思われ、SFファンの心をくすぐる。


人間とAIの違いは…あとは死を恐れる本能のみ。

エヴァが検索システムを利用し知識を蓄積していく過程で、世界中の死や暴力や危険な情報が彼女の思考や性格にも影響してしまったら…人間観察に飽きたあと誕生するのは、死の女神。

そんな嫌な予感がザワザワと胸に残った。

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ソイレント・グリーン [SF]

満足度★70点

ソイレント・グリーン 特別版 [DVD]

ソイレント・グリーン 特別版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD
■来たるべく人肉食の世界


印象の「難しい」を選択したのは、食料問題の抜本的な解決法が現在でも模索中ということと、死にゆく人間を食材の一つになっている世界を倫理的にどう受け止めるか、ということを考えさせられたからである。


殆ど食べる物が無くなった地球上で、もう生きるのは十分だと思った人間たちの肉を、生きる者たちに提供するというのは、合理的なのかもしれない。
しかし、今はまだ自死を希望する者の肉だけで賄ってはいるが、ゆくゆく供給する肉が無くなってきたら、政府が行き着く先は人間の家畜化であり、待ち受けているのは人間を食べるものと食べないものにわかれる、酷いカースト制のある世界である。
主人公の危惧していた通りに。

そんな世界に生きていて、人間は果たして幸せといえるのか。
絶滅してもいいのではないかとさえ思えてしまう。
汚染されていて不毛だと言われても、都会を捨て、どこか別の場所に一縷の望みをつないで、前向きな気持ちを持ったままくたばる方がまだマシだと思う。

一際印象に残ったのは、美人女性が「家具」として、高級マンションのオプションになっていること、老人ホームのような場所が美しい光景を見ながら死んでいく施設であることなど。
ディストピア映画はたくさんあるが、古い映画ながらも近未来の閉塞感を上手く表現している。


関係ないが、チャールトン・ヘストンは笑顔が下手な俳優だなと思った。苦みばしった顔が、この映画の作風にぴったりだった。

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ブレードランナー2049 [SF]

満足度★80点

ブレードランナー2049.jpg

■人間たらしめているのは苦しみ

【her 世界でひとつの彼女】【モーガン プロトタイプL-9】【エクスマキナ】【チャッピー】。

【ブレードランナー2049】も、「限りなく人間に近づいたAIは、果たして魂を持つのか」という主題を持った映画。それは前作の【ブレードランナー】で提示された課題でもあり、【AI】【アイ、ロボット】【アンドリューNDR114】など、その後に作られたSF作品もそれに追従している。

ブレードランナーを語る前に、私なりにその「AIの感情は人間に近づくのか」について考えてみたのだけれど、あることに気がついた。
普段私たちが感じる感情は「幸せ」と「苦しみ」に2つに大きく分けられると思うが、幸せは外部からの刺激によって得られることが多く、苦しみは外部からの刺激がないことで生まれることが多い。

単純な話、普段「感情」と呼んでいる代物は、ほぼ肉体に及ぼされた影響によって与えられていて、「好きな物を食べる・観る・読む」「好きな人と抱き合う・共感する」などなど、ほぼ外部からの刺激によって得られる充足感が多く、逆に苦しみはそれらが与えられないことが発端となることが多い。
精神的な充足感は「無」からは生まれないが、苦しみは「無」からも生まれる。
AIは外部からの苦しみ=病気、老衰による恐怖は得ないかもしれないが、孤独による苦しみは感じている。

「誰にも共感してもらえない」「孤独がつらい」など、脳内で勝手に生まれる「苦しみ」。

【エクスマキナ】【モーガン】のように「自由」を切望して苦しむAIや、【チャッピー】のように人間の排他的行為に怯えるAIなど、「つらさや苦しみ」の方は、AIでも人間に近い状態を体現できるのかもしれない。
SF作品でAIの苦しみばかりフォーカスされるのはその所以だろう。

しかし、肉体的な幸せ=味覚、オーガズム、肌から得られる心地よさなどは、果たして人間に近づけられるものだろうか。【her】のように実体のないAIがオーガズムを感じるのは、絶対あり得ないだろうと考えてしまう。
全く同じ電気信号を人工脳に与えられるというのは【エクスマキナ】だが、有機物の発するものを、無機物に置き換えられるのだろうか。それはやはり「疑似」ということにならないだろうか。

いずれにしても、ほぼSF作品に登場するAIには、真の意味で死に対する恐怖がない。
死に対する恐怖がない生物は生物といえないと思うし、「肉体的な」苦しみと幸せを得られないAIは、やはり「疑似人間」でしか無い。

ただ、ブレードランナーにおいて、どこまでレプリカントが有機物をまとっているのかによる。
外装が人間で、骨格と脳だけ人工物なのであれば、それはほぼ人間に近いと言っていいし、逆に人間が骨格と脳だけオリジナルで外装をメタルにしたサイボーグになったとしても、脳みそがオリジナルなら人間といえるだろう。

いずれにしても人間たらしめているのは「苦しみ」。

AIが人間であるかどうかの定義は永遠に決着がつかない命題だと思う。
なので、それはいったん脇に置き、孤独に苦しみ誰かとの触れあいを求めている時点で、それを魂と呼んであげたいと私は思う。
それがプログラムだろうとなんだろうと、苦しんでいるのは事実なのだから。
Kが肉体を持たないAI・ジョイを愛しく思っているのは、なんともいえない哀れさがあった。
彼もまた、感情というまやかしにふりまわされて、傷ついている。

本編で、デッカートが人間なのかレプリカントなのかは結局明示されなかった。
ウォレスはその気になれば、(魚のような機械によって)彼がレプリカントなのか否かは見分けられるはずだから、一体デッカートから何を聞き出したかったのか、「オフ・ワールド」に連れて行って何をしたかったのかは、判然としない。
だが、もしかしたら彼もレプリカントなのかもしれない。
実は人間とレプリカントの数が逆転するほどに迫っているのだとしたら、過去の「大停電」のようなことが再び起きたら大惨事になってしまう。レプリカントを供給するインフラが止まってしまったら、子孫が残せない彼らに未来はない。ウォレスが、デッカートの肉体から、レプリカントが子孫を残せるヒントを得られるかもしれないと考えた節はある。

ドュニ・ビルヌーヴ監督の静謐なタッチは好きだ。哲学的で内省的で。
Kの心のひだをなぞるようないちいち冗長なシーンも、蠱惑的で退廃的な世界に身を沈めたい人間にとっては至高のひととき。

だが、そうではない人間にとってはやはり映画の尺が長すぎるし、物語そのものの求心力も弱いと思える。

ただ似たようなSF作品を観るくらいなら、迷わず「ブレードランナー二作品だけ観ればいい」と言いたい。
ブレードランナーが提示した課題を受けて作られた他の作品を、この2049で収斂させたとも言えるから。

エクス・マキナ [Blu-ray]

エクス・マキナ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • メディア: Blu-ray
CHAPPIE / チャッピー [SPE BEST] [Blu-ray]

CHAPPIE / チャッピー [SPE BEST] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray
モーガン プロトタイプ L-9 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]

モーガン プロトタイプ L-9 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: Blu-ray
アンドリューNDR114 [SPE BEST] [DVD]

アンドリューNDR114 [SPE BEST] [DVD]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD
A.I. [Blu-ray]

A.I. [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: Blu-ray
アイ,ロボット [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: Blu-ray


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メッセージ [SF]

満足度★85点
http://www.message-movie.jp/

メッセージ.jpg

■たとえそれが閉じた輪だとしても


深い余韻が胸を満たした。
もう一度、ゆっくり見返したい映画。

辛い未来が待ち受けているとわかっていたら、果たして同じ選択をするだろうか?と自問する。

ヘプタポッドの言う通りだとしたら、人間が互いに争いをやめ、融和をしなければ彼らの未来が危ういということ。
しかし彼らの到着により、人間達は疑心暗鬼に陥りさらに分断する恐れもあった。
そういった危機すらも、ルイーズの存在により回避できるのだと、彼らのなかでは折り込みずみだったのだろうか。

ルイーズが持つ「武器」は、彼女が元々持つ能力なのか、ヘプタポッドと (間接的に)触れあうことで引き出されたものなのか曖昧でもあるし、未来がみえるということは、全宇宙の運命は決められたものであるのか?という疑念も湧く。

しかしそんな疑問は全てうっちゃって、ルイーズが我が子を失うとわかっていながら、それでも精一杯愛することを決意した場面に心を揺さぶられた。子供のこと、今目の前にある危機、全ては「今自分ができる最善のことを行う」というルイーズの行動に集約されていく。

宇宙は閉じた輪だとしても、その輪はヘプタポットの文字のように蠢き形を変えるのかもしれない。これからのルイーズや人類の選択によって、未来が変わっていくのかもしれない。 ルイーズがイアンに余計なことを言わず、二人がずっと一緒にいたら未来はどうなっていくだろう?

インターステラー】でもキーワードだった愛。人類が情愛をもって最善の選択をしていけば、未来は明るい。
この【メッセージ】がたとえ理想論だとしても、憎しみで社会が分断の方向に向かっている中、こんな風に希望を持たせてくれる話があってもいいと思った。



インターステラー [Blu-ray]

インターステラー [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • メディア: Blu-ray


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アフター・アース [SF]

満足度★68点


アフター・アース(初回生産限定) [Blu-ray]

アフター・アース(初回生産限定) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray


■余計な一言がなければ…


怪物に目の前で姉を殺されトラウマを抱えた少年が、墜落した未知の星(地球)で、負傷した父を助けるべく、たった一人数々の試練を乗り越える。ざっくり言うとこのようなストーリー。

世間や批評家からは酷評されていましたが、傑作ではないにしろ、それなりに楽しめる娯楽作だった。
シャラマン、冒頭の掴みは凄くうまい。

墜落中らしき機体、倒れている少年。

そこから、地球を離れ異星人(原住民)を駆逐して別の惑星で生存している人類のモノローグ。
次々と現れる未知の情報に、自然と前のめりになる。
対人間兵器として異星人が作ったモンスター(アーサ)が、「人間の恐怖を嗅ぎとって」襲って来るというアイデアはなかなか面白い。

「危険は確実に存在する。しかし恐怖は人間が生み出すものだ。未来に起きることを予測して恐れているだけ」
この台詞、まるでシャラマン自身が自分の作品を見る観客に対して皮肉っているかのよう。
だが、せっかく千年後の地球でのサバイバルが始まった!と期待するも、その舞台を生かしきれていないのが残念。
ウィル・スミス扮するサイファが吐く台詞「地球の動物は人間を襲うよう進化した」ことは原因も理由も明かされず、しかも動物たちが人間を意図的に襲うように細工された痕跡もなかった。ジャングルが生い茂っているのに酸素が足りないこととか、昼夜の寒暖差が激しすぎることとか、自然の摂理にだいぶ説得力が無いことも良くない。

これ、脚本の書き直しがあって宙に浮いてしまった設定なのか、「地球の動物は千年の間進化したので、人間にとって危険だ」の誤訳じゃないのか?と思ってしまう。

異性人が腹いせに、地球の動物に細工して母星に住めないようにしてしまったとか、地球人による汚染のせいで動植物が人間を排除すべきものと知性が発達したとか、裏設定か何かがあったに違いない。
もしくは、本当は地球の野性動物vs人間だけにしようと思ったのに怪物も出してしまったのか。
とにかく大風呂敷広げすぎた脚本をザクザク切り取ったような粗さ。

またモンスターも、皮を剥がされた鶏のような、どこかで見たような造形。
長い四肢、長い頭頂部。アメリカのクリーチャーデザイナーは、【エイリアン】の呪縛から逃れられないらしい。

とはいえ、VFXは素晴らしいものだし、定点から時間を切り取ったような撮影法を使ったり、動物の視点から人間を撮ってみたり、随所にシャラマンらしさも垣間見れた。アドベンチャーものとしては及第点。

ちなみに登場人物の名前が「キタイ(期待)」「センシ(戦士)」「アーサ(朝←だと思うのだが)」など、日本語の音が使われているのも楽しい。


エイリアン [Blu-ray]

エイリアン [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (FOXDP)
  • メディア: Blu-ray

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プロジェクト・アルマナック [SF]

満足度★65点

プロジェクト・アルマナック [Blu-ray]

プロジェクト・アルマナック [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: Blu-ray

■ドキュメンタリー手法を取った青春SFもの

奨学金を得るために発明品の開発にいそしんでいる主人公デイビット、その過程を証明するために撮影を始める妹という設定には無理がない。
同じオタク仲間と実験に失敗したり憧れの女の子に茶化されたりと、キラキラした青春が詰まっているものの、冒頭はありきたりな描写が続く。

展開が急変するのは二回。デイビッドが亡くなった父親の遺品のビデオカメラがきっかけでタイムマシンの設計図を発見するところと、タイムトラベルを繰り返す余り「現在」がどんどん悪い方へ変わってしまうことに気がつく場面。

「全てがうまくいく」と浮かれていた仲間達は、宝くじを当てたり、いじめの復讐をしたり、行きたかったフェスに参加したりと、者が考えつきそうなことを手当たり次第行って、青春を謳歌する。しかしクラスメイトの死をきっかけに雲行きが怪しくなる。

映画会社の宣伝文句のように「世界は破滅に追いこまれる」わけではないが「大変なことになっちゃった」という彼らのパニックぶりが逆に等身大で好ましい。

この映画のタイムトラベルは、過去に戻るたびに様々な未来が派生するわけではなく、一つの時系列を行ったり来たりする考え方。
UNOでリバースを二回出しても同じゲームが続いていくのと同じで、一度過去に戻っても同じ時系列で人生は進む。
マシンを動かした時点と空間がマーキングされるようなもので、戻るときも必ずそこに戻ってくるので、行ったり来たりしてもわかりやすい。
現在に戻ると歴史が書き換わっていて、自分たちだけが知らないというのもお約束。
「過去の自分に会ってはいけない」というルールが破られたときの現象の描き方は、賛否あるだろう。
タイムトラベルを描くときに、制作側が必ず直面する問題ですよね(笑)。

デイビットが父親を殺さなければならいのかな?などと予想していたら絡んでいなかったのは肩すかし。
ま、いい意味で高校生等身大の物語になっていたんだろうなと思います。
ちなみにフェスでステージに乱入した際、歌っていたバンドは【イマジン・ドラゴンズ】

ナイト・ヴィジョンズ

ナイト・ヴィジョンズ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2013/07/17
  • メディア: CD

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トゥモローランド [SF]

満足度★65点

トゥモローランド MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

トゥモローランド MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • メディア: Blu-ray

■バッヂは希望の種

爪の甘さや説得力に欠ける点がとにかく多い が、ラストはいい。

結局人間ていうのは、自分が死んだあとも人の営みはずっと続いていくことを望むというか、命が繋いでいくことを強く願っているんだよね。
個人的にこういうラストに弱いんだよねぇ。色々な世界の人間が、同じ志を持ち前へ進むという、希望の持たせ方が。

繰り返すが突っ込みどころは多い。 フランクの罠だらけの屋敷や、パリへの瞬間移動は楽しいけれど、スモールワールドの入口は一体どこへ行った?とか、エッフェル塔のロケットはエッフェルらが使った後、誰が再建したのか? とか。あれが未使用なのなら、エッフェルやジュールらはどうやってトゥモローランドに行ったのか?とか。

トゥモローランドの社会構造はどうなっているのか?とか。 選ばれた人間たちが子供を作ったら自動的に永住していいのか?とか。 老化防止薬があるのに人口密度は大丈夫なの?とか。
じゃあジュールやエッフェルや、ディズニーも生きてておかしくないよね?とか、とか(笑)

禁断のマシンを作ったことでフランクを追放したのに、トゥモローランド側(ニックス) はそれを壊すどころか利用していて、それでいて「未来を変えたい」という彼を殺そうとするなんて、なんだかスッキリしない。絶望してるのはわかってるんだけどさ、やってみりゃいいじゃん。

ニュートンが選ばれた根拠も弱いといえば弱い気もするが、まあ彼女の場合、NASAの基地に忍び込んで妨害工作をする高校生なんて中々いないだろうし、あの気の強さも生命力の強さと受け取れるし、アテナが出会ったなかでは最高の頭脳と勇気を持った若者なんだろうと解釈して、深く考えないほうがいいと思った(笑)

それに、映画やドラマで暗い暗い話ばかり繰り返すと、本当に悲壮感や厭世感が漂ってしまうんだよ、というメッ セージを強く発信する、こういう映画がたまにはあってもいい。

ディズニーの予定調和なハッピーエンドに鼻白むこともあるが、それでも、そういう映画を作り続ける会社が一つはないと困るよね…と思うのだ。

フランクの父親のように、夢見る力を否定する人間は嫌い。たとえその人の努力が実を結ばなくても、たとえ世の中の役に立たず自己満足に終わったとしても、後悔せずに生きている人のオーラは周りにもいい影響を与えるんだよ。

子供向けだけど、大人も自分を振り返るいいきっかけになる映画だと思う。


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エクスマキナ [SF]

満足度★80点

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■自由を求める時点で自我はある

体の一部がスケルトン仕様になっている美しいAIのデザインが、この映画の魅力を半分以上占めている。
動くたびに微かに機械音がする、アリシア・ビカンダーの抑制された体の動かし方が魅力。

大富豪ネイサン。彼は何をもって、AIを完成としたかったのだろうか。
エヴァは美しい。開発者にありがちな、自分の作品に陶酔してしまうあまり、客観的な眼が曇ったか。
自由を求める時点でそれは自我の目覚めであり、わざわざケイレヴを使ってテストする必要はないようにも思う。
それを言ってしまったら「そもそも」論になってしまうのだが(笑)

しかしケイレヴという第三者の目を通して、私たち観客もエヴァと対話できるのであり、彼女が次に発する言葉に、いちいち新鮮な驚きと興奮を覚える。

ネイサン、エヴァ、ケイレヴの心理戦、密室サスペンスは大いに楽しめたが、ネイサンが「建設作業員は口止めで殺した」というブラックジョークに引っ掛かる観客はそんなにいないだろう。
少し無理矢理サスペンスの味付けをしたようにも思える。

ケイレヴが自分もAIなのではと疑問を抱くシーンは「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」のオマージュで、SFファンの心をくすぐる。

人間とAIの違いは…あとは死を恐れる本能のみ。
エヴァが検索システムを利用して知識を蓄積していくのであれば、世界中に死や暴力や危険な情報が氾濫し続けていくことによって、彼女も左右されていくのでは―?と恐れる。人間観察に飽きたあと誕生するのは、死の女神。
私にはそんな嫌な予感がザワザワと胸に残った。


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オデッセイ [SF]

★満足度75点


オデッセイ [Blu-ray]

オデッセイ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: Blu-ray




 オデッセイ.jpg

■人間の精神力の源とは

去年の傑作【インターステラー】に出ていたマット・デイモンと、ジェシカ・チャスティンが今作品でも出演。
最近はSFの良作が多く嬉しい。

マーク・ワトニーは火星に一人取り残されるが、持ち前の明るさと、目の前のことに一つずつ取り組む冷静さで絶体絶命の状況を生き延びる。
火星の荒野を眺めるワトニー。
こちらも自然と「孤独と自由」について思いをはせる。

孤独な状況下では、他者がいれば容易に実感できる自己という存在を、「考える自己」を自分自身で拠り所にしなければならない。「我思う、故に我あり」という格言が頭をよぎる。

だからこそ、クルーに自分の生存が伝えられていないことを知ったワトニーは、その決断を下したNASAに怒りをぶつける。助けに来て欲しいことよりもまず先に、生きて存在していることを知って欲しい、そのことで喜んでくれる人がいる、それを思うだけで自分も力を得られる・・・。

つくづく、人間は不思議な生き物だなと思う。

ワトニーが一人火星で禅問答を繰り広げている間、地球では命とカネを天秤にかけて様々な駆け引きが行われている。火星にも見えざる手が干渉し始め、領有権だのなんだのとワトニーを制限し始める。ヒトは社会的な生き物で、社会から切り離されると生きていけないのだが、それが少し窮屈で時にまどろっこしい。かといって所属している世界を手放す勇気は、ほとんどの人にはないだろう。

だからこそ、ヒト社会のしがらみを超えて純粋でまっすぐな思いを貫く宇宙飛行士たちの勇気ある行動に胸を打たれるし、死を直面にしても「犠牲になるのは俺だけで十分」と堂々と言えるワトニーが堪らなく羨ましい。

ラスト、足下に芽吹く物言わぬ同志に「ハイ、ディア」と囁くワトニー。何にも自由を侵されることなく本能のままに芽吹く植物を、もしかしたら彼は少し羨ましくも思ったのかもしれない。

ワトニーの、知恵と折れない精神力で生き抜いた人しか持てない大らかさと清清しい表情に、こちらもすっきりと爽やかな気持ちになった。久々に人間の善き部分にスポットをあてた映画。


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プリデスティネーション [SF]

★満足度95点


プリデスティネーション ブルーレイ&DVD セット (初回限定生産/2枚組) [Blu-ray]

プリデスティネーション ブルーレイ&DVD セット (初回限定生産/2枚組) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • メディア: Blu-ray




輪廻の蛇 (ハヤカワ文庫SF)

輪廻の蛇 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: ロバート・A. ハインライン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/01/23
  • メディア: 新書




■流れる時から外れてしまった哀しい存在

自分を傷つけ、自分に恋し、自分を抱き、自分を産んで、自分を誘拐し、自分を殺す。

すごい話だ。

ハインラインの原作を読んでいなかったことで、気持ちよく騙された。
だが配給会社の宣伝は明らかにミスリード。キャッチコピーやトレイラーでは、イーサン・ホークと犯人が様々な時代を行き来する激しいおっかけっこを展開するSFだと思ってしまう。前半、その煽りにより非常に退屈だと思ってしまう人がいたとしたら、それは凄く不幸な事だ。

ジョンは究極の孤独な人間。
唯一の理解者は自分で、自分自身しか愛せなかった人間なのに、最後にボマーとなった自分を愛せなかったことでメビウスの輪が完成してしまう。なんて悲しいんたろう!

鶏が先か卵が先か。
自分で自分を産むということで自分が存在するという考えは、では最初にその時代に達した時に誰から生まれていたのかという矛盾をはらみ、ゆえに始まりが無いに等しく、現実には有り得ない。
だがこの背徳さが物語に異様な深みを与えている。

未来もなければ過去もない。永遠の輪の中をグルグルグルグルと廻る、ジョンの人生。
まさに矛盾が生んだ存在、誰とも交わることの無い運命。凄く切ない。

最初、この映画はどう展開していくのかと訝しく思いつつも、ジェーンの、数奇な人生に引き込まれていった。
私の頭の中では目まぐるしく推理が展開し、バーテンが爆弾魔で、冒頭で失敗したジョンは何らかの理由で、整形で爆弾魔そっくりにされてしまったのかと考えた。バーのシーンは炎で焼かれる前のジョンが、これから爆弾魔を追い詰める過去を描いているのかと。
なかなかいい線までは推理できたと思うが(笑)、話は私の予想のはるか斜め上を越えていった。

後半は怒濤の展開、目まぐるしい展開にドキドキしっぱなし。
ボマーに顔を焼かれた時のジョンを眺めている「もう1人のジョン」のシーン辺りで、彼の「瞳」を見て真実に気がついてしまってからは、言いようもない哀しみが胸を突き刺した。

この時空のパズルを、二部構成でみせたのは素晴らしい。
全く違う映画を二本見た感覚に襲われた。

タイムトラベルの機器が楽器ケースだったり、タイムトラベルの瞬間の空気が圧縮して膨張するような描き方も最高にクールで、タイプライターと同じ様に哀愁を感じる。
CGに頼らず脚本と見せ方で全く無駄の無い作品に仕上がっている。
私のなかでは久々のSF傑作。
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