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メッセージ [SF]

満足度★85点


http://www.message-movie.jp/

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■たとえそれが閉じた輪だとしても

深い余韻が胸を満たした。もう一度、ゆっくり見返したい映画

辛い未来が待ち受けているとわかっていても、自分は同じ選択をするだろうか?と自問する。

ヘプタポッドの言う通りだとしたら、人間が互いに争いをやめ、融和をしなければ彼らの未来が危ういということ。
しかし彼らの到着により、人間達は疑心暗鬼に陥り、さらに分断する恐れがあった。
それとも、ルイーズの登場で回避できるということすら、彼らのなかでは折り込みずみだったのだろうか。

ルイーズが持つ「武器」は、彼女が元々持つ能力なのか、ヘプタポッドと (間接的に)触れあうことで引き出されたのか曖昧だと感じたし、未来がわかってしまうということは、全宇宙の運命は決められたものであるのか?という疑問も湧く。
しかしそんな些末なことよりも、ルイーズが我が子を失うとわかっていながら、それでも精一杯愛することを決意する場面に心を揺さぶられた。
子供のこと、今目の前にある危機、全ては「今自分ができる最善のことを行う」というルイーズの行動に集約されていく。

宇宙は閉じた輪だとしても、その輪はヘプタポットの文字のように蠢き形を変えるかもしれない。
これからのルイーズや人類の選択によって、未来が変わっていくのだとしたら?
ルイーズがイアンに余計なことを言わず、二人がずっと一緒にいたら?

【インターステラー】でもキーワードだった愛。人類が情愛をもって最善の選択をしていけば、未来は明るいのかもしれない。 たとえそれが極論でありそして理想論だとしても、憎しみで社会が分断の方向に世の中が向かっている中、こんな風に希望を持たせてくれる話があってもいいと思った。

インターステラー [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • メディア: Blu-ray

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アフター・アース [SF]

満足度★68点


アフター・アース(初回生産限定) [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray


■余計な一言がなければ…

怪物に目の前で姉を殺されトラウマを抱えた少年が、墜落した未知の星(地球)で、負傷した父を助けるべく、たった一人数々の試練を乗り越える。 ざっくり言うとこのようなストーリー。

世間や批評家からは酷評されていましたが、傑作ではないにしろ、それほど批判するほどでもない、それなりに楽しめる娯楽作だった。
シャラマン、冒頭の掴みは凄くうまい。

墜落中らしき機体、倒れている少年。

そこから、地球を離れ、異星人(原住民)を駆逐して別の惑星で生存してい人類のモノローグ。
次々と現れる未知の情報に、自然と前のめりになる。
対人間兵器として異星人が作ったモンスター(アーサ)が、「人間の恐怖を嗅ぎとって」襲って来るというアイデアはなかなか面白い。

「危険は確実に存在する。しかし恐怖は人間が生み出すものだ。未来に起きることを予測して恐れているだけ」
この台詞、まるでシャラマン自身が自分の作品を見る観客に対して皮肉っているかのよう。
だが、せっかく千年後の地球でのサバイバルが始まった!と期待するも、その舞台を生かしきれていないのが残念。
ウィル・スミス扮するサイファが吐く台詞「地球の動物は人間を襲うよう進化した」ことは原因も理由も明かされず、しかも動物たちが人間を意図的に襲うように細工された痕跡もなかった。ジャングルが生い茂っているのに酸素が足りないこととか、昼夜の寒暖差が激しすぎることとか、自然の摂理にだいぶ説得力が無いことも良くない。
これ、脚本の書き直しがあって宙に浮いてしまった設定なのか、「地球の動物は千年の間進化したので、人間にとって危険だ」の誤訳じゃないのか?と思ってしまう。

裏設定で異性人が腹いせに、地球の動物に細工して母星に住めないようにしてしまったとか、地球人による汚染のせいで動植物が人間を排除すべきものと知性が発達したとか、何かあったに違いない。
もしくは、本当は地球の野性動物vs人間だけにしようと思ったのに怪物も出してしまったのか。
とにかく大風呂敷広げすぎた脚本をタイトにした感じ。

また、モンスターも、皮を剥がされた鶏のような、どこかで見たよ~ぅな造形。
長い四肢、長い頭頂部。 アメリカのクリーチャーデザイナーは、エイリアンの呪縛から逃れられないらしい。
とはいえ、VFXは素晴らしいものだし、定点から時間を切り取ったような撮影法を使ったり、動物の視点から人間を撮ってみたり、随所にシャラマンらしさも垣間見れた。
恐怖を排除した故に感状表現が不器用な父親を好演したウィル・スミスも良かったし、アドベンチャーものとしては及第点。

ちなみに登場人物の名前が「キタイ(期待)」「センシ(戦士)」「アーサ(朝←だと思うのだが)」など、日本語の音が使われているのも楽しい。


エイリアン [Blu-ray]

エイリアン [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (FOXDP)
  • メディア: Blu-ray

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プロジェクト・アルマナック [SF]

満足度★65点


プロジェクト・アルマナック [Blu-ray]

プロジェクト・アルマナック [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: Blu-ray


ドキュメンタリー手法を取った青春SFもの。

奨学金を得るために発明品の開発にいそしんでいる主人公デイビット、その過程を証明するために撮影を始める妹という設定には無理がない。

同じオタク仲間と実験に失敗したり、あこがれの女の子に茶化されたりと、キラキラした青春が詰まっているものの、冒頭はありきたりな描写が続く。

展開が急変するのは二回、デイビッドが亡くなった父親の遺品のビデオカメラがきっかけでタイムマシンの設計図を発見するところと、タイムトラベルを繰り返す余り「現在」がどんどん悪い方へ変わってしまうことに気がつく場面。

「全てがうまくいく」と浮かれていた仲間達は、宝くじを当てたり、いじめの復讐をしたり、行きたかったフェスに参加したりと、
若者が考えつきそうなことを手当たり次第行って、青春を謳歌する。しかしクラスメイトの死をきっかけに雲行きが怪しくなる。

映画会社の宣伝文句のように「世界は破滅に追いこまれる」わけではないが、「大変なことになっちゃった」という彼らのパニックぶりが逆に等身大で好ましい。

この映画のタイムトラベルは、過去に戻るたびに様々な未来が派生するわけではなく、一つの時系列を行ったり来たりする考え方。
UNOでリバースを二回出しても同じゲームが続いていくのと同じで、一度過去に戻っても同じ時系列で人生は進む。
マシンを動かした時点と空間がマーキングされるようなもので、戻るときも必ずそこに戻ってくるので、行ったり来たりしてもわかりやすい。
現在に戻ると歴史が書き換わっていて、自分たちだけが知らないというのもお約束。
「過去の自分に会ってはいけない」というルールが破られたときの現象の描き方は、賛否あるだろう。
タイムトラベルを描くときに、制作側が必ず直面する問題ですよね(笑)。

デイビットが父親を殺さなければならいのかな、などと予想していたら絡んでいなかったのは肩すかし。
ま、いい意味で高校生等身大の物語になっていたんだろうなと思います。

ちなみにフェスでステージに乱入した際、ステージで歌っていたのは【イマジン・ドラゴンズ】。


ナイト・ヴィジョンズ

ナイト・ヴィジョンズ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2013/07/17
  • メディア: CD


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トゥモローランド [SF]

満足度★65点

トゥモローランド MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

トゥモローランド MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • メディア: Blu-ray


■バッヂは希望の種

爪の甘さや説得力に欠ける点がとにかく多いが、ラストはいい。


結局人間ていうのは、自分が死んだあとも人の営みはずっと続いていくことを望むというか、繋いでいくことを強く願っているんだよね。いずれ死ぬことは同じだとしても、絶望しながら死んでいくよりも、明るい未来を描きながら死んでいく方がいいと思う生物。
個人的にこういうラストに弱いんだよねぇ。色々な世界の人間が、同じ志を持ち前へ進むという希望の持たせ方が。

繰り返すが突っ込みどころは多い。
フランクの罠だらけの屋敷や、パリへの瞬間移動は楽しいけれど、スモールワールドの入口は一体どこへ行った?とか、エッフェル塔のロケットはエッフェルらが使った後、誰が再建したのか?
(あれが未使用なのなら、エッフェルやジュールらはどうやってトゥモローランドに行ったのか?)

トゥモローランドにしても、選ばれた人たちのなかで、どんな社会構造になっているのか?とか。
選ばれた人間たちが子供を作ったら自動的に永住していいの?とか。
老化防止薬があるのに人口密度は大丈夫なの?とかw

禁断のマシンを作ったことでフランクを追放したのに、トゥモローランド側(ニックス)はそれを壊すどころか利用していて、それでいて「未来を変えたい」という彼を殺そうとまでして頑なに入国拒否するのも、なんだかスッキリしない。

ニュートンが選ばれた根拠も弱いといえば弱い気もするが、まあ彼女の場合、NASAの基地に忍び込んで妨害工作をする高校生なんて中々いないだろうし、あの気の強さも生命力の強さと受け取れるし、アテナが出会ったなかでは最高の頭脳と勇気を持った若者なんだろうと解釈して、深く考えないほうがいいと思った(笑)

それに、映画やドラマで暗い暗い話ばかり繰り返すと、本当に悲壮感や厭世感が漂ってしまうんだよ、言霊は怖いんだよ、というメッセージを強く発信する、こういう映画がたまにはあってもいい。

ディズニーの予定調和なハッピーエンドに鼻白むこともあるが、それでも、そういう映画を作り続ける会社が一つはないとね…と思うのだ。

フランクの父親のように、夢見る力を否定する人間は嫌い!
たとえその人の努力が実を結ばなくても、たとえ世の中の役に立たず自己満足に終わったとしてと、後悔せずに生きている人のオーラは周りにもいい影響を与えるんだよ。

子供向けだけど、大人も自分を振り返るいいきっかけになる映画だと思う。


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エクスマキナ [SF]

満足度★80点

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■自由を求める時点で自我はある

体の一部がスケルトン仕様になっている美しいAIのデザインが、この映画の魅力を半分以上占めている。
動くたびに微かに機械音がする、アリシア・ビカンダーの抑制された体の動かし方が魅力。

大富豪ネイサン。彼は何をもって、AIを完成としたかったのだろうか。
エヴァは美しい。開発者にありがちな、自分の作品に陶酔してしまうあまり、客観的な眼が曇ったか。
自由を求める時点でそれは自我の目覚めであり、わざわざケイレヴを使ってテストする必要はないようにも思う。
それを言ってしまったら「そもそも」論になってしまうのだが(笑)

しかしケイレヴという第三者の目を通して、私たち観客もエヴァと対話できるのであり、彼女が次に発する言葉に、いちいち新鮮な驚きと興奮を覚える。

ネイサン、エヴァ、ケイレヴの心理戦、密室サスペンスは大いに楽しめたが、ネイサンが「建設作業員は口止めで殺した」というブラックジョークに引っ掛かる観客はそんなにいないだろう。
少し無理矢理サスペンスの味付けをしたようにも思える。

ケイレヴが自分もAIなのではと疑問を抱くシーンは「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」のオマージュで、SFファンの心をくすぐる。

人間とAIの違いは…あとは死を恐れる本能のみ。
エヴァが検索システムを利用して知識を蓄積していくのであれば、世界中に死や暴力や危険な情報が氾濫し続けていくことによって、彼女も左右されていくのでは―?と恐れる。人間観察に飽きたあと誕生するのは、死の女神。
私にはそんな嫌な予感がザワザワと胸に残った。


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オデッセイ [SF]

★満足度75点

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■あるがままを体験した稀有な人間

去年の傑作【
インターステラー [Blu-ray]】に出ていたマット・デイモンと、ジェシカ・チャスティンが今作品でも似たような境遇に立たされる役で出演。
ジェシカは父親を帰還させるべく、重力の謎解明する天文学者マーフィー。
マットは移住可能な星を探し、一人未開の地で助けを待つマン博士。 彼に抱く大衆のイメージを逆手にとって、とんだ食わせ者を演じていたが、今回の主役、植物学者のマーク・ワトニーは正反対の性格。
持ち前の明るさと、目の前のことに一つずつ取り組む冷静さで、絶体絶命の状況を生き延びる。

火星の荒野を眺めるワトニー。こちらも自然と孤独と自由について思いをはせる。
ワトニーがログを吹き込むのは、自分の生死に関わらず後世の記録のためでもあるが、自分自身で自分の存在を認知して、安心を得ているようにも思えた。
孤独な状況下では、他者がいれば容易に実感できる自己という存在を、「考える自己」を自分自身で拠り所にしなければならない。我思う、故に我あり」という格言が頭をよぎる。

だからこそ、クルーに自分の生存が伝えられていないことを知ったワトニーは、その決断を下したNASAに怒りをぶつける。
助けに来て欲しいことよりもまず先に、生きて存在していることを知って欲しい、そのことで喜んでくれる人がいる、それを思うだけで自分も力を得られる・・・。くづ く、人間は不思議な生き物だなと思う。

ワトニーが一人火星で禅問答を繰り広げている間、地球では命とカネを天秤にかけて様々な駆け引きが行われている。
火星にも見えざる手が干渉し始め、領有権だのなんだのとワトニーを制限し始める。

ヒトは社会的な生き物で、社会から切り離されると生きていけないのだが、それが少し窮屈で時にまどろっこしい。
かといって所属している世界から手を離す勇気は、ほとんどの人にはないだろう。

だからこそ、ヒト社会のしがらみを超えて純粋でまっすぐな思いを貫く宇宙飛行士たちの、勇気ある行動に胸を打たれるし、死を直面にしても、「犠牲になるのは俺だけで十分」と堂々と言えるワトニーが堪らなく羨ましい。
ラスト、足下に芽吹く物言わぬ同志に「ハイ、ディア」と囁くワトニー。
自立して何にも侵されることなく本能の赴くままに芽を出す植物を、もしかしたら彼は少し羨ましくも思ったかもしれない。

体ひとつ、知恵と折れない精神力で生き抜いた人しか持てない大らかさと清清しさ。
彼は、自分はなぜここに?などと煩悶しない動物が持つ、「あるがままの姿」に近づいた稀有な人間なのかもしれない。


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プリデスティネーション [SF]

★満足度95点


プリデスティネーション ブルーレイ&DVD セット (初回限定生産/2枚組) [Blu-ray]

プリデスティネーション ブルーレイ&DVD セット (初回限定生産/2枚組) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • メディア: Blu-ray




輪廻の蛇 (ハヤカワ文庫SF)

輪廻の蛇 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: ロバート・A. ハインライン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/01/23
  • メディア: 新書




■流れる時から外れてしまった哀しい存在

自分を傷つけ、自分に恋し、自分を抱き、自分を産んで、自分を誘拐し、自分を殺す。

すごい話だ。

ハインラインの原作を読んでいなかったことで、気持ちよく騙された。
だが配給会社の宣伝は明らかにミスリード。キャッチコピーやトレイラーでは、イーサン・ホークと犯人が様々な時代を行き来する激しいおっかけっこを展開するSFだと思ってしまう。前半、その煽りにより非常に退屈だと思ってしまう人がいたとしたら、それは凄く不幸な事だ。

ジョンは究極の孤独な人間。
唯一の理解者は自分で、自分自身しか愛せなかった人間なのに、最後にボマーとなった自分を愛せなかったことでメビウスの輪が完成してしまう。なんて悲しいんたろう!

鶏が先か卵が先か。
自分で自分を産むということで自分が存在するという考えは、では最初にその時代に達した時に誰から生まれていたのかという矛盾をはらみ、ゆえに始まりが無いに等しく、現実には有り得ない。
だがこの背徳さが物語に異様な深みを与えている。

未来もなければ過去もない。永遠の輪の中をグルグルグルグルと廻る、ジョンの人生。
まさに矛盾が生んだ存在、誰とも交わることの無い運命。凄く切ない。

最初、この映画はどう展開していくのかと訝しく思いつつも、ジェーンの、数奇な人生に引き込まれていった。
私の頭の中では目まぐるしく推理が展開し、バーテンが爆弾魔で、冒頭で失敗したジョンは何らかの理由で、整形で爆弾魔そっくりにされてしまったのかと考えた。バーのシーンは炎で焼かれる前のジョンが、これから爆弾魔を追い詰める過去を描いているのかと。
なかなかいい線までは推理できたと思うが(笑)、話は私の予想のはるか斜め上を越えていった。

後半は怒濤の展開、目まぐるしい展開にドキドキしっぱなし。
ボマーに顔を焼かれた時のジョンを眺めている「もう1人のジョン」のシーン辺りで、彼の「瞳」を見て真実に気がついてしまってからは、言いようもない哀しみが胸を突き刺した。

この時空のパズルを、二部構成でみせたのは素晴らしい。
全く違う映画を二本見た感覚に襲われた。

タイムトラベルの機器が楽器ケースだったり、タイムトラベルの瞬間の空気が圧縮して膨張するような描き方も最高にクールで、タイプライターと同じ様に哀愁を感じる。
CGに頼らず脚本と見せ方で全く無駄の無い作品に仕上がっている。
私のなかでは久々のSF傑作。
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エリジウム [SF]

満足度★65点

エリジウム [Blu-ray]

エリジウム [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray


■ 社会の構図がただあるのみ


「第9地区」もそうだが、今回も人物描写に善悪の明確な区別はなく、混沌として複雑な社会構図が、ただそこにある。

どれもこれもが
ピカピカしたメタリックな素材でできた未来ではなく、アナログさと最先端技術が混在した街の様子がリアルだ。
かさついた空気の悪い都市は色を失ったセピア色。着るものや住環境は全く進化してないのに、一部分だけ妙に突出した物があるのは、扇風機パソコンが同居
している私たちの生活の延長線上のようで、簡単に受け入れられる。

むしろ、なんら進歩のない格差社会が、来るべき未来の様子なのかもと想像してしまい、気持ちが萎えたほどだ。

簡単に治療できる技術があるにもかかわらず、低所得者にはその技術は施さない。
それを行うと貧富のバラ ンスが崩れてしまうから誰も行わないという、人間には絶対の不平等が横たわる社会の図式に、考えさせるものがある。

スラムのギャングたちに、外科の腕が抜群の者がいたり、エリジウムのメインサーバのスクリプトを書き換えられる者がいたり、また、簡単に大気圏を突破できる宇宙船や、簡単に離着陸できるエリジウムなど、構造的に突っ込みどころが多いのが難点。

また、感情移入の要素を廃したあまり、主人公マックスに肩入れできなかったのも事実。
そのため政府の足となる拝金主義の傭兵(本当にゲス野郎だった)との一騎討ちもあまり盛り上がらず、惜しい。
結末がヒロイックなだけに、もう少し感情に訴えてもよかった。

エリジウム高官のジョディ・フォスターも特に見せ場なく、死をあっけなく受け入れる様子が、それまで頑なに低所得者を排し超寿命に固執してきた姿に似つかわしくなく潔いので、多少困惑。

とはいえ、ただ初恋の人との未来を儚く夢見たマックスの、刹那的な人生を見届けた後に去来した虚しさは嫌いじゃない。
見逃したチャッピーも、きっと面白かったのではと、 期待が寄せられる。


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ターミネーター ジェネシス(ネタばれ) [SF]

★満足度75点

■スカイネットを永遠に葬れないのは・・・製作者(笑


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⇒は試写会で貰ったうちわらしき物w

ハリウッド映画では賛否の割れそうなラストシーンを迎える場合、いくつかパターンを作っておいて、試写での反応をみて変更することが多々ある。推論だが、この映画ももしかしたらそうだったのかもしれない。

私は、あのまま「おじさん」が消えてなくなる方が、直前の感動を抱えたままでいられたから、そうして欲しかった。
合体しろとうるさく小言を言う姿も微笑ましく、未来へ送った二人をひたすら待ち続ける老いぼれた姿、とどめは「俺のサラを守ってくれ」という台詞に、じわじわと胸を締め付けられてきた時間を、完璧なものにして欲しかった。

ターミネーター [Blu-ray]】ではあの拭いきれない不安感と、カイル・リースの喪失がただならぬ余韻を残していた。
そんな切ない余韻は要らないとばかりに、次回作があると思わせるありきたりなラストにはちょっとがっかり。


改めて批評すると、この映画はリブードでもなくリメイクでもなく、もちろん純粋なシリーズものでもない。
パンフレットではリイマジニングと書いてあり、独自の視点での物語を紡ぐべく、過去作品とは無理に整合性は持たせないようにしている。

今までサラが変えようとしていたのは未来。今回カイルの視点で紡がれる物語は、変わってしまった過去。
カイルが助けに来たサラは、ジョンから聞いていたよりも遥かに逞しく、これから起こる未来を知っているようだった。
それもそのはず、サラは9歳のときに既に襲われており、T800が現れて窮地を脱した後は、彼から聞いた未来を元にサバイバル術を磨いてきたのだ(ちなみにこのときの子役がサラ役のエミリア・クラークにそっくり。キャスティングのこだわりに惚れ惚れする)。その時から二人はずっと一緒にいて、彼らは1で登場した刺客のT800を「待ちくたびれている」。

面白いのはサラが既に自立してしまっており、カイルを必要としていないこと。
【サラ・コナー クロニクル】での「強いサラ」のイメージを彷彿とさせる。
1では脆弱なか弱き生身の男と女が肩寄せあって逃げ惑う姿にハラハラし、逃避行の際に生まれた結晶がジョン・コナーという運命の皮肉に胸が熱くなったものだが、今作の二人は戦士としての良きパートナーという風情。
カイルが使命感に燃えたロマンチックな男という点では変わらないが。

この役者の二人、いくらリイメジニングとはいえ、どことなくリンダ・ハミルトンマイケル・ビーンの野暮ったさ(失礼!)を継承している。あの二人のイメージを裏切ることのないキャスティングに、再び拍手を送りたい。

前半戦は1と2にオマージュを捧げたシーンが続出、中盤からオリジナリティをみせはじめる。
あのジョン・コナーがスカイネットの手先となって登場するという、これ以上広げようのない設定。
正直、予想を裏切られて興奮もしたけど、終わってみれば「やっちまったな~」という気も。
だってもう、話の作りようがないでしょ…それなのに「次回作ありますエンド」なんだから。

カイルがタイムトラベルすると同時に、ジョン・コナーがスカイネットに襲われ、その時異なる時間軸のタイムパラドックスが発生する。サラが幼いカイルに出会ったり、カイルが幼い自分にスカイネットの正体を教えたり、今の時間軸を完成させるためのタイムトラベルの符丁も楽しい。

符丁といえば、3でスカイネットは特定のサーバをもたず、世界に散らばったデータだったという設定を踏襲してか、スカイネットは世界中でプリインストール(?)されているOSということになっている。
また、審判の日の後のカイルの姿は、【ターミネーター4】で登場した幼いカイル・リースを彷彿とさせる。

ふと思ったのだが、このまま二人が「合体」すると、産まれてくるジョン・コナーは再びスカイネット化してしまうのだろうか。
残った謎として、幼いサラを助けるためにT800を送り込んだのは誰だろうか。
変わってしまった未来からだろうか、それとも…?

とにかく言えることは、まだまだ彼らの安息できる日は遠いということ。
映画会社がスカイネットを完全に潰す気はないようだから。


ターミネーター4 スペシャル・エディション [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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インターステラー [SF]

★満足度90点

■愛は未知数のシグナル


人間=肉体という器が朽ちるまでの時間と、深淵膨大な宇宙空間を移動する時間との闘い。
ブラックホールやワームホールを極限まで可視化した未来の映像。
空間のマジックによってすれちがう親子、それぞれの戦い。

様々な見所にあふれたこの作品を、
「物理学上の理論で最高に面白い」とも
「未知に挑む人間の勇気を描く史上の傑作」とも
「再会を諦めなかった親子の愛情」とも
はたまた、「地球がだめなら他の惑星、というアメリカのパイオニア精神についてはいけない」
など批判的な意見も、観点によって様々あるだろう。

だけど私は、アメリアが言った「愛は科学的に未知の力」という台詞が忘れられない。
劇中のクーパーには一笑に付されてしまったが、実はこれが一番のキーポイントだと思った。

愛というとただの心情を表す概念や言葉だと捉えてしまうが、人が強い衝動で何かエネルギーを発し、空間に介在する物質を突き動かし、光と同じくらいの速さで信号を送れるとしたらどうだろう。
または、知らず知らずのうちに潜在的にそういうエネルギーが備わっているとしたら?

「未知の力を解明するのが科学」と子ども時代のマーフが言っていたように、人間がまだ解明していない力というのは「想いが重力を伴い相手に届けられること」なのかもしれない。
その力を解明できれば、想い=脳というのは人そのものだから、まさに「宇宙(空間)を愛(という信号)で満たす」ことができると解釈できる。
それは「どこにでもいてどこ(一点)にもとどまらない」存在になるということではないだろうか。

劇中、キリスト教的ワードが随所に出るが、もしかしたら昔「神」と言われた人間たちは、そういった力を理論ではなく「ある」と感じ宇宙の根源を理解していた人たちなのではないだろうか。

人類はブラックホールもワームホールも理論物理学上は解明しつつあるのだろう。
遠い星空の果てに、誰かが目覚めさせてくれるのを待ちながら眠りにつくアメリアと助けに行くクーパーのように、新世界のアダムとイブを夢見るのもいい。

だが、五次元や未知の星の圧倒的空間に気圧されながらも、生命の力を再認識する自分がいた。
渡り鳥の渡りのメカニズム、虫の羽ばたき、そういったマクロの世界に通じる、生命そのものの力はまだまだ未知数なのだから。

地球を捨てるにはまだ早い。
監督にはそういう意図はないかもしれないが、計らずとも私は地球への愛着を強くした映画であった。



〉〉一言メモ

映画を少し好きな人ならすーぐピンとくる、TARSとCASEの外見。
モノリスですね。
クーパーがNASAに捕まったとき、最初何が動いているか判断に時間がかかった人は多いはず。
まさかの板が超合金ロボなみに変形したときも驚きましたが、だんだんあの板に愛着が湧いてくる不思議な仕様。
クーパーの横に横たわる姿がなんともいえなくて。
モノリス・・・もとい、『2001年宇宙の旅』は偉大ですね。

 

2001年宇宙の旅 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
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