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女は二度決断する [クライム・サスペンス・社会派ドラマ]

満足度★85点

ざっくり言うと目には目を…の話なのだが、ただの復讐とは片づけられない深い痛みがあった。

カティヤが二人を殺し、「ざまあみろ」と溜飲を下げるだけでは【 ジョン・ウィック】と同じだが、彼女は自分も同じ方法で死ぬことで結果的に復讐の連鎖を止め、息子に味わわせてしまった苦しみを自らに課したのだと思う。

彼女の心の動きは推し量るしかない。一度目の決断。 窓にぶつかる鳥を見て何を思ったのか。
トラックの下からリュックを取り出したのを見て、復讐を諦めたのかと安堵した人も少なくないだろう。
しかし、生理がきたことによって、彼女の時間が動き出したことが暗示される。
それが前向きにしろ後ろ向きにしろ、緊張状態から抜け出し、自分の心に冷静に向き合えた瞬間だったのだと思う。

旦那の両親から投げつけられた暴言、実の母親の旦那への無理解、自分が糾弾された裁判での屈辱。
容疑者が犯人でないのなら、では誰が犯行に及んだのか。家族が死んだのは事実なのに、そのことがなおざりにされていく彼女の絶望は計り知れない。

映画は三部構成でメリハリがあるが、第二部の裁判での検察の手腕は甘く、探せば防犯カメラに犯人の様子が映っていたかもしれないし、ギリシャへの出国記録や入国記録は調べたのか?とも思う。

ネオナチというヒトラーの遺産が、移民受け入れの軋轢で押し出されるように噴き出す。
しかしヒトラーもヒトラー以上に過激思想なSSのコントロールに手を焼いていたことを考えると、ヒトラーという男が台頭しなくても、第二のヒトラーは必然的に生まれてきただろう。
結局、ヒトラーは象徴化して優位思想や選民思想、差別主義者の都合の良いスケープゴートになっている気がする。彼ら自身から生まれた劣等感や憎しみであるにも関わらず、ヒトラーの影響だと言えば、あたかも彼のせいにできるとでもいうように。

カティヤは社会的な制裁を下すための長い闘いをやめ、個人的な闘いに持ち込んだ。
それを一種の逃げととる人もいるだろうけど、彼女の痛みを一緒に分かち合った気持ちになった私には、あの一度目の決断から二度目へ向かう心の逡巡を思うと、家族への懺悔と人生への絶望が強く迫ってきて、彼女を責める気には到底なれない。

久しぶりに、作品をうまく表しているいい邦題だと思った。
反芻すると心がゆさぶられる。
カティヤの魂が一瞬でも救われたことを祈らずにはいられない。

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スリー・ビルボード [クライム・サスペンス・社会派ドラマ]

満足度★85点

スリー・ビルボード.jpg

http://www.foxmovies-jp.com/threebillboards/

この映画のテーマは何だろう。
陳腐な言い方をすれば、魂の贖罪と救済ーーということになるのだろうか。
ディクソンという、どうしようもなく無知な男を通して、「人に認められること」がいかに人を変えるのか、ということをつくづく考えさせられた。

自分の国の軍隊がどこの国に派遣されていたかも知らないほどの、無知。 そして彼を精神的に支配している母親はまごうごとなき差別主義者。でも彼にだって刑事を目指そうとした純粋な動機はあるわけで、署長はその点を見抜いていたんだろうと思う。

この映画を単純な構図にしていない、署長とミルドレッドの不思議な連帯感。 一方は突然娘を殺された悲しみ、一方は突然余命宣告された悲しみを抱える。ある意味、世の中の理不尽さに対して闘う同志のようなものとでもいおうか。

突然舞台から降りてしまった署長の死は大勢の感情を掻き立て、たくさんのすれ違いを引き起こす。
しかし、ディクソンとミルドレットに心に変化をもたらしたのも、また署長の死によるものだった。

ミルドレットが頑なに周囲と壁を作っているのは、世の中に対しての怒りだけではなく、自分自身に対しての怒りでもあった。 娘の死に責任を感じ、自分は幸せになってはいけないとでもいうように、周囲に敵意をまき散らしていく (でも歯に衣着せない言動、個人的にはスカッとしまくり)。
そのことを理解していたのか、署長は看板の広告費を肩代わりしていた。本当に、この場面は深く心を穿つ。

ミルドレットとディクソンの言動に批判や非難を加える前に、受け手が立ち戻らなければいけないのは、何が悪いって、捕まっていない犯罪者が一番の悪。
ディクソンとミルドレッドの旅がどういう終着点を迎えるのかはわからない。
まさか二人が本当に必殺仕置き人をしにいくわけではないだろう。
でも生きるためには目的が必要であり、それがただのポーズであっても、正しい動機のために歩み寄って行動を起こすことこそが、二人には必要だったんだと思う。
ミルドレットの最後の笑顔に救われる思いがした。

ウッディ・ハレルソンしかり、全員の演技がすべて賞をあげてもいいくらい上手かった。
元夫の19歳の恋人の、あのイラつく演技もいいアクセント。

繊細で大胆。いい映画だった。

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複製された男 [クライム・サスペンス・社会派ドラマ]

満足度★70点

複製された男 (日本語、吹替用字幕付き) [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: バップ
  • メディア: Blu-ray
■カフカの読後感のような

ジェイク・ギレンホールが出ていること、ノーベル賞作家の原作ということ以外は全く情報をいれずに観た。
最初はよくある近未来SFのように実際に複製された男がいて、謎の組織やらが出てきて私闘でも繰り広げるのかと勝手に妄想(笑)、固唾をのんで見守っていた。
しかし、なにか起こりそうな緊迫感のある演出が続くも、なかなか何も起こらない。そのうち、いやこれは「二重人格」とか、そういう話かもしれないと推理を切り替えて見つつも、なかなか話の核心に迫らない。
体が大きい割に、サランラップに巻かれたように窮屈でオタオタしたジェイクの演技にイライラ。
映画終わっちゃうよ!早く展開してよ!と焦っていたら最後は蜘蛛で終わり。カフカの変身かと思っちゃったよ。
これはとんでもない映画を観てしまったと思った。
だが落ち着いてから振り返ってみると、結構面白い映画だったのかもしれない。
解説サイトで確認すると、やはり男の恐怖心と深層心理を描いた映画だったことが判明。そこには書いていないことを、自分なりに解釈してみた。
【謎とき】
要約すると二重人格の男の話であり、一つの体の支配権をめぐる葛藤を描いたものだと思います。
さて教授と俳優、どちらが本物か。
最初の主格は俳優で、途中で教授にチェンジ。
教授という存在は、売れない俳優が妻の妊娠と不甲斐ない自分の現実に抑圧され、産み出したもう一人の自分。
⇒冒頭の秘密クラブ、母親からの「いつまでフラフラしているの?」という留守番電話で示唆。教授の自宅には家具がほとんどないことからも妻が妊娠してから生まれた別人格だとうかがえる。
妻が教授に会いに行く
⇒教授が建物の影に隠れてから、俳優が電話に出ることから、二人同時に存在していないことを示唆。
帰宅後の妻の台詞から、夫に別人格が宿っていることや、もしくは彼がそのように演技しているのではと彼女が疑っていることがわかる。
⇒劇中一度も教授と俳優が同時に存在している場面を、他人が意識的に見ている場面はない。
ホテルでの会合は、どちらが主格になるかのせめぎ合い。
複製された教授は、このまま会話を続けていくと「存在を消されてしまう」とおののき、その場を後にする。
主格となった教授は妻への元へ行き、背徳感に耐えられなくなり、奔放で浮気を止められない俳優を己から抹消する
⇒事故は本当に起きたことではなく、もう一人の自分を抹消した過程であり、それまでの恋人とのもつれの場面は、教授が想像した「このまま浮気を続けていたらこうなる」という不幸のシナリオ。
もしくは、恋人ともつれた場面までが本物であり、そこから先の車の場面だけが俳優抹消の過程かもしれない。
⇒指輪の跡がある!と大騒ぎした女が悠々と車で送られるのも不自然。
かくして勝利した教授だったが、結局「秘密クラブの鍵」を手にして再び誘惑が首をもたげる。
⇒誘惑に負けた教授が目にした妻は、自由を絡め取る糸を張り巡らす蜘蛛のように目に映る。
で、結局冒頭の秘密クラブに行ってしまうのである。
マンションそのものは無個性になっていくことへの恐怖、妻のいる部屋は抑圧の対象でしかないから、教授が見上げる部屋はいつも恐怖の音楽に彩られている。
【解けない謎】
・教授の職は本物か
妻が大学に行ったときに講義室が空っぽだったことから、すべて妄想だったともとれるし、半年間教授として働いていた可能性もある。だが母親の「大学教授である息子のあなたと、売れない俳優と一緒にしないで」という台詞が、冒頭の電話のシーンと矛盾するので空想の可能性は高い。
妻に隠れて教授として働いていたのか、教授ごっこをしていたのか定かではないが、映画の存在を教えてくれた同僚すらも架空の存在になってしまうので、ちょっと判断はし難い。
長々と書きましたがあくまで個人の感想です。原作を読んだらまた解釈が変わるかもしれませんね。
とにかくこの主人公はダメ男じゃん、ということ。

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エル ELLE [クライム・サスペンス・社会派ドラマ]

満足度★75点


http://gaga.ne.jp/elle/


■とらえどころの無い魅力

一応誤解をといておくと、氷の微笑のような、謎を最後まで引っ張る話ではない。
主人公ミシェルに特に隠された背景というのもない。
いきなりレイプ場面から始まるが、その犯人との異常な関係性を飄々と受け止めている、彼女の変容性というか一種のおおらかさが、見ている者を困惑させ、畏怖させるのだ。

ミシェルはサイコパスでもなければ、異常なマゾでもない。
だから彼女の中に積極的な被虐性欲というのは認められないけれど、状況に流されているようでいて、それを楽しんでいる様子はある。
相手が男だろうと女だろうと彼女に対して何かしてやりたい、彼女をコントロールしたいという欲求を沸き立たせる存在なんだけれども、それを敢えて放置している節がある。
最終的には不要になった相手の欲情をコントロールすることで、存在を消すことすら成功している。

結局、大量殺人を犯した父親との間に、忘れてられていた負の記憶や謎が隠されていたわけではないが、彼女が父親の中の何かを触発したに違いないという疑いは十分抱かせる。
相手から発せられる奔放にほとばしる欲情を、彼女は止めもせず咎めもせず、受け止めてみたり、流れを変えてみたり。
男たちは力づくでミシェルをコントロールしているようで、結局は弄ばれているのである。まさに予測不能。

御年64歳のイザベル・ユペールのたおやかな上品さがなければ、下品な映画になっていたに違いない。
当初はアメリカでの撮影を試みたと言うが、【氷の微笑】シャロン・ストーンのように、ギラギラと光を放つダイヤのようなオーラを放つ女優では演じきれなかっただろうと思う。

このヒロインは少し【ゴーン・ガール】を想起させるが、毒のある軽やかなユーモアはちょっとアメリカ人キャストでは想像しがたい。やはりフランスで撮って正解。

ゴーン・ガール [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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氷の微笑 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
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パージ [クライム・サスペンス・社会派ドラマ]

満足度★55点

パージ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
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■宣伝以上の内容はほとんどない

映画の宣伝以上の内容はほとんどなかった。今時珍しく1時間半以内に終わる潔い映画。
暴力を容認することで暴力を抑止するという白人至上主義者が喜びそうな考えは、現代社会への警告とも受け取れる。
まかり間違ってもこんな法律は実際には可決されないとは思うが、本当にパージが実現したとして、隣人や同僚や友人への見る目が変わって、翌日普通に生活を送れる気がしない。

普段の生活で、誰かに恨みをかわないようにビクビクして過ごすことにならないだろうか。それはかりそめの平和、一種の監視社会ですよね。
パージを支持しないことを表明している人は真っ先に標的になってしまうのか、親が殺されたら大量の孤児が生まれやしないのか、旅行者はどうなるのかとか、都市部に近い郊外以外の様子も気になる。
300〈スリーハンドレッド〉】に出演のレナ・へディは強い女にぴったりだったけど、イーサン・ホークが出るほどの脚本ではないなぁ。



↓続編はこちら


パージ:アナーキー [Blu-ray]

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パージ/大統領令 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

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デビルズ・ノット [クライム・サスペンス・社会派ドラマ]

満足度★65点

デビルズ・ノット Blu-ray

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  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • メディア: Blu-ray

■不安と悪意がじわじわと

スウィート ヒアアフター デラックス版に続き、アトム・エゴヤンの映画は2作目。
未解決事件を扱っているので、勿論事件は解決しないのだが、町全体を覆う不穏な空気、何か起きそうな緊張感がずっと続き、怖い。
殺された子どもの母親役にリース・ウィザースプーン。
最初は起訴された3人が犯人だと盲信していたが、冤罪の可能性を感じ事件を調査する弁護士と話すうちに、いつしか違和感を持つ。

誰しも身近な人を疑ったりはしたくない。
若者たちの、分かりやすすぎる反抗的な態度をそのまま信じてしまうのは、むしろそうであって欲しいという心の表れ。
そして憎しみをぶつける相手として相応しいと思える相手ほど、悲しみは癒える。そういった同調圧力が真実を覆い隠す。
真実は他にあるのではと、彼女が思い至る時点で映画は終わる。

はっきりいって、すっきりはしない。
だが彼女が事件を見つめ直す意志を持ってくれたことに、少し救われる。
若者文化への無理解と保守的な信仰心からくる無理解、こういった杜撰な捜査による冤罪がなくなりますようにと、願わずにはいられない。


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インフェルノ [クライム・サスペンス・社会派ドラマ]

満足度★70点

インフェルノ映画.jpg


インフェルノ(角川文庫 上中下合本版)

インフェルノ(角川文庫 上中下合本版)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2016/02/25
  • メディア: Kindle版




■ラストの描きかたで佳作どまりに

原作とは違ったラストが、この映画を凡作で終わらせてしまった。
人口増加を食い止めるため過激な手段を声高に叫ぶ科学者(化学者)、それを食い止めるため奔走する主人公ー。
昨今手あかにまみれた題材を扱いつつも、インフェルノが他の作品と一線を画していたのは、主人公の力及ばず実際にウイルスがばら蒔かれてしまったという、驚きの展開があればこそだった。

しかもそのウイルスは毒性のあるものではなく、ある一定の人間を不妊せしめるために遺伝子を書き換えるというものだった。

主人公たちは、失敗する。
だが、ラングドンと仲間は諦めず、これから何年かかっても解決すると意志を強く持つ。
この事態にも屈せずに立ち向かい続ける人間がいる限り未来は決して暗くはないという、いわば作者からのエール、そして人間讃歌へと物語は昇華していたのだった。

今回はダンテ自体の謎解きではなく、ダンテを敬愛する科学者が、ダンテにまつわる美術品を暗号の道具として利用しただけにすぎず、はっきりいってシリーズ一、個人的には知的好奇心が満たされないものだった。

それでも【
ロスト・シンボル (上) (角川文庫)

】がすっ飛ばされてインフェルノが映像化されたのは、スピード感のある追跡と逃亡、ダンテの描く地獄に現代社会が近づいているのではという、強烈なイメージを植えつけるものだったからだと思う。

だからこそ、即死に至らせるウイルスではなく不妊という緩慢的な死に向かうウイルスは、実は種の保存の観点からは正しい道なのかもしれないと読者に思わせる説得力さえもあった。

何の影響を恐れたのかわからないが、製作サイドでも様々な意見があったのでは?と推測する。
しかしこのラストなくしてインフェルノの本当の魅力は伝えられないと思うと、非常に残念。

付け加えておくと、ラングドンを襲う地獄のイメージは本当におぞましく、ペスト予防の仮面を着けた黒衣の医師、逆さにされた罪人ら、それらの映像化は鮮烈。
そして各国のロケも一見の価値あり。西洋の巨大な建築群、美術品にはまだまだ神秘めいたものがあり、見ていて心踊る。見て損はしません。
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大統領の陰謀 [クライム・サスペンス・社会派ドラマ]

満足度★70点 

大統領の陰謀 [Blu-ray]

大統領の陰謀 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: Blu-ray









■記者の執念

世にも有名なウォーターゲート事件、陰謀をあぶり出した2人の記者の物語。
今年は「スポットライト」に続き、おそるべき執念で権力に楯突き、くらいついていく記者たちの良質な映画を見た。

題材が神父の性暴力だったこともあり、スポットライトの方が記者の正義感がより強く出ていた気はする。

見逃してしまいそうな些細なことがらから推理を働かせ、その裏にひそむ陰謀にたどり着くそのさまは、警察官や刑事と似ている気もする。
ただ、刑事の方ははっきりとした終着点があるので肩の荷も下りようが、記者の方はよしんば記事を書き上げたとしてもその記事が世に出ない可能性もあり、また、出たとしても世論という曖昧模糊としたもので反応を感じるしかないので、自己満足の落としどころが難しい。よく心折れず自分等を信じ続けられたと思う。

しかし、情報源である人物「ディープ・スロート」はいかにも怪しい(笑)
一般人にとっては、「ある関係者筋」など書かれると、週刊紙のようでいかにも胡散臭いと感じてしまう。
でも情報源の命の危うさ・社会性制裁が加えられる可能性を考えると、しょうがないのだよな…報道の葛藤、難しさを感じる。書いた二人よりも、主幹が大きな決断をしたなぁと感心した。

ウォーターゲート事件とニクソン退任までの世論は一過性の物であって、それが国内外の諜報合戦の抑止にはならなかったかもしれない。
しかし政府にとっては「以前から当たり前に行われていた必要悪」を、当たり前だと思ってはいけないという倫理観を、民衆には植え付けたのかもしれない。


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帰ってきたヒトラー [クライム・サスペンス・社会派ドラマ]

満足度★85点

ヒトラー.jpg

■(笑)のなかにヒヤリハット

http://gaga.ne.jp/hitlerisback/

ヒトラー風刺映画では最高の出来。
タイムスリップしてきたヒトラーがコメディアンと勘違いされたまま、ドイツ行脚するというセミ・ドキュメンタリーや、劇中劇も取り入れつつ、大笑いさせて最後はぞくっとさせる。ヒトラーの存在が悪いのではなく、ヒトラーを欲した国民が悪いと自戒しつつ、じゃああんたの国は大丈夫か?と問いかける。

とにかく、ヒトラーで使えるアイデアをてんこ盛りに盛り込んだ。
テレビで有名になるだけかと思いきや、その前にロードムービーを取り入れるとはおもわなんだ。
ヒトラーになりきる変な男との旅は、思いの外楽しく充実して、彼を拾ったテレビマンも観客も気持ちが歩み寄ってしまいそうなところ、噛みついてきた犬に「ズドン」で目が覚める。
いやいや、やっぱりこいつはヒトラーだったと。

セミ・ドキュメンタリーで垣間見えたのは、ヒトラーはまるでアイドルかのように人気者で、国民は移民問題に憤り、あのときのように強い指導者を求めているということ。

そしてこういう混沌とした情勢に、ヒトラーは生まれやすいということ。

本物のヒトラーと見破ったのにも関わらず、頭がおかしいと精神病院に入れられてしまう男のように、少数派の意見は黙殺されてしまう。

テレビで人気者になり、犬の射殺映像で人気が急低下したあと、この話の顛末をどう落とし前つけるのかと思っていたら、自伝(他人にとってはフイクション)を書いてベストセラーになるという映画的に完璧な落ちまでつけて、ヒトラーの独白でショーに幕を降ろす。

ヒトラーに対する世界の思いは複雑だ。反ユダヤ主義のスケープゴートになったとも、悪しき先導者とも。
全員の中にヒトラーはいる、という劇中の台詞が心に刺さった。きっと、それが真実に一番近いだろうから。


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オオカミは嘘をつく [クライム・サスペンス・社会派ドラマ]

満足度★65点

オオカミは嘘をつく [DVD]

オオカミは嘘をつく [DVD]

  • 出版社/メーカー: アルバトロス
  • メディア: DVD

■オオカミはオオカミだった

イスラエル版タランティーノ…っぽくしたいのかもしれないが、話にはそれほど捻りもなく。
冒頭のスローモーションのかくれんぼ、不穏さを醸し出すかっこいい音楽から傑作の期待を持ったけれど、さにあらず。登場人物の属性があまりにどストレート。

大体、容疑者、刑事、被害者の父親の三人しか出てこないわけだから、消去法でいくと真犯人は容疑者に決まってしまう。あるとしたら刑事で、自白を強要して潔白の人間に自分の罪を被せようとしているという線も考えられなくもないけれど、其れを匂わせるような伏線も演出もなし。
容疑者が拷問に耐える様子に、本当に犯人ではないのかな?とチラと思うこともあったが、まあそれだけ。

なぜ容疑者が容疑者とされたのか、なぜ刑事や被害者の父親は犯人だと確信してるのか、その根拠が明示されていないので、ただ単に我慢のしくらべっこに終始してしまっている。誰しもが狼の可能性がある…というような、人間の業を描くこともなく、狼は狼だったのね、で終わりました。

むしろ被害者の父親のサイコパスぶりや常軌を逸した行動がおもしろい。
拷問途中でもケーキの仕上がりを気にしたり、家族からの電話に何事もなく出てしまったり。
更に彼の父親が登場したときは、拷問吏が二人になって(笑)、容疑者には同情を覚えた。
拷問のなかのユーモア、そういった緩急で展開の先が読めない面白さはあるにはあった。音楽の使い方もかっこいい。

イスラエル人によるアラブ人への偏見なども折り込みピリリとした悪意に満ち、クライムサスペンス好きな人を引き込むエッセンスはあるとは思う。

関係ないが、被害者の少女達の頭部も見つけられず、刑事の娘の死体も見つけられず、暴力を振るうしか能のない警察官。世界中こんな奴ばっかりだったら嫌だなぁ。


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