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アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち [戦争ドラマ・戦争アクション]

満足度★70点


アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち [Blu-ray]

アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: Blu-ray

■彼らが求めた勝利とは


赤狩りでハリウッドを追われた映画監督のアイヒマンへのこだわりと、被害者にスポットを当てたいテレビマンたちの衝突と葛藤。
イスラエルでのアドルフ・アイヒマン裁判の生放送をめぐる、もうひとつの人間ドラマは、あくまで外側の視点から、かつてのナチ親衛隊将校の人間性を炙り出し、客観的に捉えようという試み。
色々考えさせられ面白かった。

優れたドキュメンタリーを撮る腕をかわれ、雇われた映画監督フルビッツ。彼は「人間は誰でもモンスターになりうる」という信念のもと、カメラには執拗にアイヒマンを追うよう指示する。
彼の表情に人間性が垣間見られれば、人は置かれた状況によって平然と残虐なことができるようになってしまうのだと、証明できるからだ。

しかしイスラエル人のテレビスタッフは、「絶対に私たちは彼にはならない」といい、アイヒマンはモンスターのままでいいと思っている。そうでなければ、自分達が受けた仕打ちに納得ができないから。

結局はこの平行線は決着を見ないが、観るものに疑問を突き付ける。
私はもちろん、ユダヤ人であろうと何人であろうと、人間というものは国という曖昧模糊とした存在に責任転嫁をして、残虐な行為をしてしまうと思う。

何千年も国家を持たなかったユダヤ人が、何千年も前の神との契約を持ち出し、住んだこともない土地からアラブ人を追い出して攻撃している。そのことを住民に突きつけても、目を塞ぎ耳を塞ぎ、平然としているではないか。

勿論、この生放送によって、それまで一般市民にはにわかに信じられていなかったホロコーストが全世界に露呈したことは、ユダヤ人にとって一定の勝利であると思うし、世界中が知るべきだったと思う。
ただ、人間の性質においてフルビッツの持論はもっともだし、見たことも住んだこともないイスラエルを何故「故郷」と思えるのか?という素朴な疑問を抱くことにも共感できる。

生存者の悲惨な体験を突きつけられても平然としていたアイヒマン。 だが、責任を真っ向から突きつけられ顔を歪めたとき、ナチの親衛隊は、ただの矮小な男になった。

フルビッツの努力は報われた。それは映画監督としての個人的な勝利にのみならず、戦争と大義名分がいかに人を尊大にするかを証明した勝利でもあったと思う。

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フューリー [戦争ドラマ・戦争アクション]

満足度★60点

フューリー [SPE BEST] [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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■戦争を体感させようという意欲作

どれだけ御託を並べようと、大義名分を振りかざそうと、戦場にいる兵士にとっては戦場はやるかやられるかの世界で、「ひたすら怖いもの」でしかない。

新人兵士は、敵国の人間は子供だろうが市民だろうが、いつ自分に牙を向くかわからない、だから殺しておけと教わる。
そいつらを殺さなければ、結局は自分が殺される。どのみち死体が増えることには変わりないから殺しておけと。

理屈や理想が通じない生の現場を、戦車に取り残された死体の顔や道いく死体を潰す音などあえて嫌悪を感じさせる演出をして、なるべく視聴者に届けようとした意欲を感じる。

少しでも日常的に過ごしたい…そんな彼らは時折見せる横顔は、良心的であまりに普通。
ひたすら恐怖から逃れてきたら生き残ってしまって、またこの恐怖がいつまで続くかわからない生活に心の底から疲れている。

誰がこんなに人間を追いつめるのか?
最後の選択肢は、そんなちっぽけな男たちがありったけの勇気を振り絞って、自分等が戦う意味を残そうとする切ない場面。アメリカ映画的なヒロイズムを少しだけ感じはしたが、戦争に善悪はないという普遍性を持たせようとはしたようにも思う。

ただ、ドイツ人女性宅で起きたことはいささかドラマ的すぎる。
私は女なので、それまでの視点が逆転して、女性に感情移入して見ていた。
言葉の通じない男たちが、いつ自分に牙を向くか。誰が乱暴して誰が理性的で話が通じるか。
おどおどしながら顔色を窺う様子に、まるで自分がそこにいるかのようにビクビクし、とても情けない気持ちになった。

何日間の逗留ならまだしも、出会ってすぐそんなに敵国の女性が恋に落ちてくれるわけがない。
さっきまで心を通わせ微笑みあっていた人間が次の瞬間死体に変わる、という無情さを表したかったのかもしれないが、あの場面だけは男の幻想だと思った。

余談だが、スターウォーズのようにあのピュンピュンと飛び交う弾道はどうなの?
本物の弾道はあのように目で捉えられるものなのだろうか?


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ビルマの竪琴 [戦争ドラマ・戦争アクション]

満足度★70点 

ビルマの竪琴 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: フジテレビジョン
  • メディア: DVD









■慰霊にみる人間らしさ

積み上げられた死体、密林に放置された死体…

無造作に放置された死体からは、人間だったという痕跡が、まるで感じられない。
たくさんの感情と言葉と時間が重なって築き上げられた唯一無二の存在だったことさえも、そして、彼らと感情を交歓しあった人たちがいたことさえも、感じることはできない。

無情さと自然における人間の小ささと、その大きな世界の片隅で殺し合っている行為の虚しさと。

ビルマ人にそっくりの日本兵が、ビルマの僧侶のふりをして、巡礼の旅に出る。
彼が供養したところで、何かが救われるわけではないけれど、それでも供養せざるをえない気持ちになるのが人間なのでしょう。
例え彼の名前が後世に伝わらなくても、ビルマという地で日本人のために誰かが供養をした、ということが伝われば、誰かの救いにはなるかもしれない。

――日本式の納骨に、その思いが込められている気がした。


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顔のないヒトラーたち [戦争ドラマ・戦争アクション]

満足度★75点

顔のないヒトラーたち Blu-ray

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  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray




■戦争犯罪を個人が償う意味

相次ぐヒトラー映画。ドイツ本国では氾濫するヒトラーものをどのように受け止めているのだろう。

常に自戒の念を呼び起こされるのか、自分とは繋がらない遠い過去のものとして捉えるのかー―この映画の若者たちのように。

ドイツ国民でナチスの行ったことがこんなにもすぐに風化してしまっていたことに驚いた。
日本では日本国民を鼓舞するために、軍部の行った非道を寧ろ喧伝していた報道の歴史があるが、ドイツでは違ったということだろうか。イツのみならず、ヨーロッパ全域で厄介者扱いのユダヤを純潔主義の志のもとガス室に送り込んだことは、国内で称賛されたことではなかったのか?
それが親の世代が口を閉ざしただけで、たかだか一世代隔てただけで、蓋がされてしまうということにただ驚いた。

戦争下では残虐の限りを尽くした人間が、平和になった街角でパンを売っている。

主人公の行おうとしていることは、自分等国民のために戦った同胞を、非難し貶める行為でもある。戦争という常軌を逸した条件下で、何が正気で正義であったかを問いただすのは見当違いなのかもしれない。
しかし個人の罪を問うことで、戦争下の人間がいかに非道になりうるかを世間に知らしめ、それにより戦争の抑止力として利用することはできる。

映画では積極的に人体実験に関わった医師が捕まえるべき最大の悪として描かれるが、逮捕されたのはほぼ一般市民だ。

この題材、同じドイツのベストセラー【朗読者】を思い出した。
主人公が思いを寄せた年上のきれいな女性も、同じように裁判にかけられた。
その時、彼女は言った。

「一体どうすればよかったんですか」

私も同じ立場だったらそう思う。
軍に逆らい自分の立場を危うくしてまで、ちっぽけな正義を貫けるのかと。
縁もゆかりもない人間に情けをかけることによって、家族や自分の安全を差し出せるのか、と。

難しい問題だけれど、やはり風化してしまうより白日にさらした方がいいのだろう、「人類の歴史」にとっては。
それがたまたま生きている時代に戦争が起きて、たまたま敵をいたぶった「元々は罪のない」個人が、わりを食うのだとしても。
歴史が埋没するかわりに、犠牲が必要なのだ。ただ、糾弾されるのが自分および自分の家族だったら、納得できるかはわからない。


>>一言メモ

話は変わりますが、本作はいい意味で教科書通りの撮影手法で、ほどよい行間をもつ、いい映画でした。

観客はガス室で行われたことはもう今さら聞きたくないし、残酷な描写を延々と語られても辛い。
製作陣もそれをわかっているのか、ガス室を生き抜いたユダヤ人の告白などは大胆にカットされている。

その代わり、聴取の時間の経過は、聴取している部屋のドアが徐々にズームアウトしていくことで表現したり、凄惨な内容は、中から出てきたタイピング係の女性が無言で涙を拭うことで表現するなど、無言の演出がされている。
随所にそういう、奇をてらわない基本の編集がなされた映画でした。


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イミテーション・ゲーム [戦争ドラマ・戦争アクション]

満足度★75点 
 








打倒エニグマを掲げる天才数学者の活躍を描く話でもあるが、その実は彼が
LGBTである悩みと孤独を描く。

学生時代、たった一人心を通わせた相手は結核で死んでしまい、心が凍りついた彼にとって大半の人間は別の時空に生きているような隔絶した存在。
彼の言動は自信過剰で、頑なに自分のビジョンを信じて疑わず協調性の全くない態度に敵を多く作ってしまう。

だが恋人の名を暗号解読機に投影した想いの重たさを表現したシーンには、身を切るような痛みさえ感じた。
彼は不器用さの余り、たった一人の理解者を突き放してしまう。
暗号解読チームも、やっと彼のことをわかりかけてきたというのに、突きつけられる孤独。

第二次世界大戦後に同姓愛であるだけで逮捕される社会。
イギリスの負の側面、知られざる葛藤と苦しみの歴史を見た気がする。

密告を恐れ、嘘の刃を自分に向けながら心で血を流してきた不世出の天才の姿に涙した。


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サウルの息子 [戦争ドラマ・戦争アクション]

★満足度65点

サウル.jpg

■儀式を通し救済される人間性

予告編が終了すると、スクリーンの幅がぐぐっと狭まる。
珍しい対比の小さな画面の中からサウルの顔が浮き上がり、観客は彼の「中へ」入っていく。

収容所で同胞を処理するゾンダーコマンドの労働が、臨場感たっぷりに描かれる。
監督が言っていたように、「サウルを通して収容所をのぞき見する」という感覚。
同胞をガス室に閉じ込め、死体をひきずり、死体を燃やし、ガス室を掃除する。傀儡人形のように感情を押し込め、ひたすら労働に従事するゾンダーコマンドたち。

今作ではドイツ兵の描写に特別な残忍さはない(ユダヤ人を愚弄するシーンはある)。
ユダヤ人は死んで当たり前であり、殺すことは空気を吸うように自然。罪悪感もないし、羨望が隠れ潜む憎みやそねみという感情の発露の対象でもない。絶対的優越。

今まで観た作品群ではホロコーストの描かれ方に違和感があった。
いくらユダヤ人が国家を持たない根無し民族といったって、あんなに従容とガス室に送られるものなのか。
600万人もいて、抵抗勢力はなかったのか?そもそも600万人もの人間を(合計数とはいえ)軍が管理できるのか?600万人も従容と死を受け入れたのか?(この数は南京大虐殺と同じ様に信憑性がないのではと思う)
何かの映画で(サラの鍵だったかもしれない)、「俺はユダヤ人自体に何の恨みもない。ただ抵抗すらしないユダヤ人はあまりにも勇気が無いから、尊敬するに値しない」という、私の疑問を映したような台詞があった。

だが調べてみると、レジスタンスも組織されたし、ロシアと手を組む多きな勢力もあった。なので、ひたすらユダヤ人を哀れな存在として描いていない収容所での暴動シーンは気に入った。

また、「伝統的なユダヤ語を話せない」ハンガリー系ユダヤ人、ゾンダーコマンド内でのヒエラルキー、ラビと偽りサウルを騙す男など、ユダヤ人も一枚岩ではないと思った。死にたくない者たちが、同胞を集めて扉を閉める、穴へ突き落とす。
次は俺たちだ、という段になって取り乱すゾンダーたちには、「自分だけ生き延びればいい」という思いも垣間見え気持ち悪かった。

反乱を企てるリーダーがサウルに投げかける「息子なんかいない」という台詞は、本当にいないと言い聞かせているのか、サウルの行動を諫めているのか、翻訳からはわからない。

結局「息子」はサウルの人間らしさへの尊厳の象徴だったのか、本当に息子だったのかはわからない。
せっかく生き延びた少年がむざむざ殺されてしまったことが、サウルの心に何かをともしたともいえる。

この映画で語られているのはホロコースト云々というより、極限下で人間の魂を救うのは、一体何かということである。
私はそれを神とは認めたくない。宗教戦争は一神教による選民思想に拠るところが大きいから。
サウルにとって葬儀にこだわったのは神からの救済かもしれないが、私は「儀式」を通しての「人間への尊重」が、ひいては自分自身の救済にもなるということだと思いたい。

サラの鍵 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 東宝
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草原の実験 [戦争ドラマ・戦争アクション]

満足度★80点

草原の実験blog.jpg

「台詞がない」
ことと、「驚きの結末」ということ意外には、何の予備知識もなく見に行きました。
(ここではカテゴリばれしてしまいますね(汗))

タイトルから、人体実験の話とか実は外の世界は滅びているのかな、なーんてSF的な展開を想像してみたり。
見事裏切られましたね(笑)

映像が始まったら、あれこれ邪推せずに自然の美しさや丁寧な生活の描写が流れるままに心を委ねました。
羊の毛の柔らかさを想像し、水が土を這う様に喉の乾きを覚え、かさついたパンと羊の肉に食欲を、毎日同じことの繰り返しの中に漂う幸福を感じながら。

そしてこの話はどこでオチがつくのかと考え始めたところで、唐突に終わりを告げたラストには、予想していたより遥かに鮮烈なショックを受けました。
兵隊が登場したあたりから不穏な空気が漂ってきていたので、「そっち系の話かな」とは思いつつも…。

風が揺らすカーテンのたなびきも、傾いだ家のそこここから漏れる太陽の温もりも、淡い恋の睦み合いも、木っ端微塵に吹き飛んだ後の虚無感。
悲しいとか苦しいとか切ないとか感情がまったく浮かんでこない。呆気にとられる感じ。

小さな脳みその中で繰り広げられる人間個々の世界など、あの暴力的なエネルギーの前では存在さえ無かったに等しい。きっと宇宙空間に放り出されて目の前で星が爆発したとしたら、その瞬間なんの感情も湧かないんだろうと思う。なにかそれに似た感覚。

大戦中の報道写真でよくみられる、大規模な戦禍のあと廃墟の前に佇む人の顔が、みな揃って虚ろな理由がわかるような気がする。
人間的な感情は、それが「人間の所業」によるものだとようやっと実感してから、後から後からわいてくるのだと思う。

帰ってからチラシをみたら、そこここにヒントが書いてありましたね(笑)
アンドレイ・タルコフスキーを彷彿とさせる、旧カザフスタンであった実話をベースに…などなど。
セミパラミンスク核実験場がベースでしょうか。

主役のエレーナ・アンは、今は父親と共に韓国に移り住み、韓国語を習っているそうで、女優業には興味がないそうです。勿体ない…。しかし映画のアンより大分印象が違う…特に目のあたりが…

あのときのアンの魅力があってこその、映画といえるでしょう。
彼女のしなやかな清々しさが、ある種のファンタジーさを映画に添えています。
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戦場のメリークリスマス [戦争ドラマ・戦争アクション]

満足度★40点


戦場のメリークリスマス [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
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■過大評価と感じた

名作とうたわれている所以がわからない。私の胸には響かなかった。
公開当時の世間の熱量が、今と著名作違うからかもしれない。
当時見た人にとっては新鮮さは色褪せないのかもしれないが。

捕虜収容所という特殊な空間でおきる男たちの衆道のような関係性。坂本龍一演じるヨノイがデヴィッド・ボウイ演じる英国人将校セリアズに寄せる想いが、この映画の一つの軸になっている。

だが淡々としていて、特にスキャンダルな展開にもならず、話自体に起伏がない。
同じ命令を繰り返すヨノイや反発するセリアズという構図に飽いてしまったし、セリアズの髭反りパントマイムにも鼻白んでしまった。

もう一組の主役、ビート武演じるハラとロレンスの間には、ちょっとした連帯関係が描かれるけれども、ハラが最後晴れ晴れと死を迎えられるほどの強い結び付きが劇中にあったとは思えなかった。

ただ、奇妙な日常感が印象に残る映画ではあった。脅したり虐げることが日々の仕事であって、兵士はそれをこなすだけという、戦争の不可思議さは感じたし、ところどころいい台詞もあった。
「私は個人の日本人を恨みたくない」 「変な顔だけど、目はきれいだ」
後者は、ラストのハラの顔のアップに呼応していると思う。

それにしてもロレンスの発音が悪すぎて、映画を観る以前の問題だと思った。
辿々しいを越えて、全く喋れないに等しい。
邦画はアフレコせず、撮影の際に拾った音にこだわっているという記事を読んだことがある。
この映画も同様なら、変な業界人のプライドにかまけて、観客を置き去りにしていると思うがいかに。
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おかあさんの木 [戦争ドラマ・戦争アクション]

満足度★30点

おかあさんの木blog.jpg

んー…演出も台詞も非常に陳腐だった。
編集も悪い。人物描写が単調。
「おかあさん」の田村ミツが五郎の出征時に行かせまいとした行為を、非国民と引っ捕らえて尋問するステレオタイプの憲兵にもうんざり。あれじゃユダヤ人に対するナチ。当時凶暴なまでの厳しさはあったとしても、個人に対する憎しみがあるわけではないんだから。上手くいえないけど、なにか・・・こう・・・演出に浅薄さを感じた。

また、産婆のヨネさんが、飼い猫が毛皮目当てで軍に没収されるとき、「隣の○○さんは馬までもってかれるからしょうがない…」と言った台詞のその瞬間に、その人が馬に話しかけながら登場したり、二郎に恋した中華屋の女の子の80年代のようなキラキラした笑顔をアップにしたり、五郎に恋していたサユリちゃんが泣きながら歌を歌ったりと、もうお寒~いシーンが続出。
泣きながら歌う、って普通の青春映画じゃないんだから。普通の青春映画でも寒いくらいなのに。

あとね、農林水産省の若い奴。話を聞くだけ聞いて、「じゃいきましょっか」って。
戦争話に対してなんの心も揺さぶられない若い奴を出したいなら、その対比を最初からもっと煽らないと。
そうじゃないなら、普通に神妙な面持ちをしてあの木を帰りに見つめるとか、どうせやるならとことん陳腐な演出にすればいいのに。

一番おかしいと思ったのは、回想中、五郎と生き別れたかのように突然号泣する現代のサユリ。
泣かせるシーンを作りたいあまりのミスリードした演出はやめて欲しいですね。
彼らが結ばれるのか結ばれないのか最後までぼかしたいなら、うまい騙しかたをして欲しい。

鈴木京香の演技自体は悪くないものの、ワンパターンなシーンばかり。
もっと市井の母親の生活を、台所仕事なりなんなり丁寧に描くことで、息子を失う喪失感というか、そういうものがもっと醸し出されたのではないだろうか。

私の時代には載ってなかったのてすが、教科書では有名な話なんですよね?
その名作が…、名作たりえたとおもわせる映画ではなかったですね。
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アメリカン・スナイパー [戦争ドラマ・戦争アクション]

★満足度80点

愛国心を持つ者同士が戦えば、そこには悪も善もない。
イラク戦争は「対テロ戦争」だが、過激派や原理主義者たちも、各々の掲げる正義はあるだろう。
正義と正義がぶつかれば、宗教論争に似て終わりはない。永遠の平行線。

この映画は、お涙ちょうだいもなく、クリスをことさらヒーローに仕立ててもいない。
クリント・イーストウッドの主観は極力排除され、至極客観的に作られている。
言い換えれば、事実をありのまま伝えクリスの内面を脚色していない。
それが故人に対する敬意であるように、エンドロールも無音。観客の感情を恣意的に操作していない。

よくあるフェイクのアクション映画では主人公が敵を倒すたびに爽快感を味わうが、クリスが誰かを撃つたびに、本能的に気持ち悪くなる。まるで自分が銃を構えたような緊張感。
目に見えない速さで飛んでくる武器が、隣の人間を肉塊に変える。
虚飾のない戦闘シーンの生々しさは見ていて緊張を伴った。

タヤが言う。「あなたが守りたいものはここにある」と。
積極的に海を渡って、戦闘地域で仲間を守る。
それって、勝手に人の芝生に入ってけんかをふっかけているのに等しい。
海の向こうで誰かを殺すたびに、国内でテロが起きる確率が増えていく。
では何から守ってるのか。イラク戦争はただの自己満足ではないのか。
クリスは自問自答しただろうか?
それとも暗いテレビ画面に映るのは、助けたい仲間のことだけだっただろうか。

世界大戦下の状況などと違い、国に帰れば誰も戦争を意に介さない日常。
ものすごい隔絶だと思う。イラクから帰ってきたクリスが、まっすぐ帰宅できずにバーで過ごすシーンは涙を誘う。

反戦映画ととるか、愛国映画ととるかはこちらに委ねられていると思う。
でも、アメリカ人には直視して欲しい。愛国心の拳を振りかざすたびに、憎悪が生まれていることを。
政治ゲームで疲弊するのは、良心を愛国心に置き換えた一般人。
国を守ると信じた行為は、戦闘地の一市民を戦闘員に変えるだけ。
もういい加減、神を持ち出して自己満足に浸るのはやめて欲しい。
敬虔なイスラム教徒と違って、アメリカのキリスト教徒は神を大義名分の隠れ蓑にしていると言いたくなる。
国を守りたいなら、戦争をやめなければ。

人間には「羊と狼と番犬の3種類がいる」と教えたクリスの父。
そこに「良き羊飼い」の選択肢はないのか。


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