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ライフ・オブ・パイ [サバイバル]

満足度★85点

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 [Blu-ray]

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: Blu-ray

■虎に投影された少年の心とは

虎と漂流することになった少年のサバイバルを描いた感動の冒険譚、というイメージを根底から覆す後半の展開が物凄い。

生き延びたパイが作家に語る漂流記という形式。
第一の物語はパイの少年期の生活、船に乗る経緯と難破、そして虎とパイがいかにして共に漂流したか。そして、その話を信じなかった日本人保険員に語る第二の物語は「人間たちとの漂流記」。

この話では、漂流したメンバーは、パイ、パイの母親、貨物船でベジタリアンの母親に執拗に肉を出し続けた陰険なコックと、足を負傷した日本人船員の四名。

どちらの話を信じるかは聴き手に委ねられている。
しかしこの第二の漂流記が真実であるとする方が、この話は何重にも深い重みを増してくるのである。

興味深いのは、仏教徒の船員は自己犠牲の象徴、ベジタリアンの母は戒律者、無宗教であろうコックは宗教に縛られず本能のまま振舞う。前日に肉入りの食事を拒否していたパイ一家は、空腹に空腹をかさねていただろう。 私などは、いただける命に差をつける一神教に疑問を感じてしまう。 とにかく皮肉にも、宗教が命を脅かす枷となったことはたしかだ。

虎の行動を一人残ったパイに置き換えるとすると、彼もまた人食の禁忌を犯し、ネズミを食べ、魚を食べ、戒律を無視し、母親を殺した憎きコックと同じように外道に堕ちてしまったことになる。

彼の罪悪感や狂暴性が虎の姿を借りて語られていたとすると、最初は生き残ることに必死で(凶暴で勢いのある虎)、そのうち自分の罪や宗教について逡巡し(筏にのったパイ=良心/ボートにのった虎=罪悪感)、死を意識する(クリシュナの姿とも言われる謎の島の出現)、辛い現実と罪をおかした自分を受け入れる(衰弱した虎に寄り添うパイ)…と、心の変遷を辿ることができる。

キリスト教、ヒンズー教、イスラム教の3宗派を学問していたパイにとって、生きることに果たして宗教は役に立ったのか?というのがこの映画のテーマなのかもしれない。 私見だが、結局、宗教は枷にもなり生きる依り代になったとも言える。
コギトエルゴスム(我思う、故に我あり)ではないけれど、人は考えることによって自己を確認する生き物なのであれば、パイのように深い哲学的思考をすることができなければ、延々に続く時間というのは苦痛でしかない。 自分の状況を神が与えた試練と捉えれば、一つ一つ乗り越えるたびに喜びが生まれ、また目的意識も生まれる。雷や鯨は神々しいまでに生き生きと感じられ、恐怖心は遠ざけられる。
虎が雷に怯えたのにパイが怯えなかったのは、彼が恐れや執着を克服した境地に近づいていたことを示していたのかもしれない。

いくつかの謎は残る。わざわざ非常食を筏に移したことは真実か虚構かわからないが、私はあえて非常食を自分の目の届かないところに置くことで、ギリギリまで自力で食料調達する意思を持続させようとしたのではないかとも思った。

また、あの謎の島ですが「無人島」説と「心のビジョン」説の二通り考え、結局前者なのかなと。 要するに無人島に到着して取り合えず食料調達ができ、安堵したパイはうっかりずっとここにいてもいいかな…と思ってしまった。しかし、同じような漂流者の亡骸を見つけて、もう一度危険な大海原へ出て元の世界へ帰ることを選んだと。

宗教的知見が足りないので、なぜ歯だったのか、酸の海やミーアキャットは何を比喩していたのかなど考察は足りないが…。
そもそも漂流記はまったくの架空で、彼の宗教を求める旅という解釈もできる。

酸の海は子宮の暗喩、という考察を見かけたこともある。
それを飛躍すると、たくさんのミーアキャットは精子で、そのときのパイは恋人のことを思いだしながらマスターベーションをしてしまった…何てことも考えてしまった。危機的状況のなか、そんな煩悩でさえ追い払えない自分の穢れから脱却したいことが島からの脱出につながったのかも、と。 まあこれは飛躍しすぎたと思いますが。

パイと虎との別れですが、人間性を取り戻したパイが罪悪感と決別したとも、ようやっと自分を憐れむ余裕ができ、家族のこと、一人になってしまったことを嘆いていたとも受け取れる。

とにもかくにも、パイの話を証明する人間がいないので、どちらが真実かは受け手が決着をつけるしかない。
話を聞きに来た作家も、当時の保険員も、パイの最初の話を信じた(ふりをした)。
嘘はつき続けていれば本物になる。
どちらの話が、皆にとって幸せなのか…真実はパイのみぞ知る。


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THE GLAY 凍てつく太陽 [サバイバル]

★満足度70点

ザ・グレイ [Blu-ray]

ザ・グレイ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
  • メディア: Blu-ray
■狼との死闘を詩的に表現

まるで白人が、狼乱獲の言い訳にしてしまいそうな映画(笑)
まさかここまで狼とだけの戦いになるとは思っていなかった。

アラスカの大地、油田開発工場で働く男たちの乗った飛行機が墜落し、雪原に投げ出された七人がどうにか生き延びようとするが、人間の死体を食べた狼の群に付け狙われる、という映画。

油田で働くハンター、オットウェイの知恵と知識でなんとか撃退しつつも、行動範囲の広い狼に執拗に狙われ、寒さと怪我と飢えに弱った者から一人ずつ狼の餌食になっていく。

描かれる狼は全貌は映し出されることは少なく、暗闇から突然現れたり、取り囲む唸り声、遠吠えだけが聞こえてきたりと象徴的に描かれる。
リーダーは黒くて大きい。
西洋での悪魔のイメージその物ですね。

妻に先立たれ自殺願望のある男が、先導となるも遂に一人生き残る矛盾。
いつ死んでもいいと思っていた男を突き動かしていたのは、父親の遺した詩であり、死んだ妻の遺した言葉でもある。

一人になるのを恐れるな、ということ。
死に際を間違えるな、ということ。

ラスト、エンディングの後に死闘の後を示す映像が差し込まれるが、彼が無事なのかはわからない。だが、恐怖に打ち勝ったオットウェイにとっては、死のうが死ぬまいが大した違いはない。

「武士とは死ぬことと見つけたり」とは「葉隠れ」の「常に死に臨む覚悟をもって日々を生きよ」という言葉ですが、まさにその通りの武士道のような映画ですね。
オットウェイ演じるリーアム・ニーソンの最後の形相に鬼気迫るものがありました。

余談ですが、ヴィンセント・ギャロの【エッセンシャル・キリング】に設定は似ているけれど内容は対極的だなぁと思いました。
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ハンガーゲーム [サバイバル]

★満足度70点
ハンガー・ゲーム [Blu-ray]

ハンガー・ゲーム [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • メディア: Blu-ray

■ヒロイン以上、ヒーロー未満

キッカニスが、最後に大統領を殺すとか、大衆に蜂起を促すとか、そういったヒロイックな展開にならなかったのが正直言うと物足りなくもあり、実際ホッとした部分でもあった。
「ほっとした」のは何故かというと、無作為に選ばれた(キッカニスは妹の身代わりになったのだけど)、脆弱な若者という立場から遠くかけ離れた存在になってしまうから。

ハンガーゲームは、ただの殺し合いではなく、富裕層を楽しませ貧困層に一攫千金を夢見させるため、必要以上にショーアップされている。
これから殺し合いをする若者たちは出身地区に別れ、武道や護身術を習い、トークショーで自分の魅力をアピールし、視聴者から人気を得ようとする。人気が出ればスポンサーがつき、スポンサーがつくと、ゲーム中に特別に物資が提供される。
ゲームが始まるまでも含めて、究極のリアリティーショーとなっているのだ。
なかには本当に自分が人気者になったと有頂天になる者もいる。たった一人しか生き残れないのに。
皆がボイコットすればゲームは成り立たないのに、まんまと乗せられてしまうのは十代の若さ故とも思うし、初めて着るドレスや食する豪勢な食事に目を輝かせてしまうのも仕方ないといえる。

キッカニスは生来備わった気の強さと、貧困ゆえ培われた狩りの腕で何とかサバイバルを生き残る。
ライバルさえも惹き付けるのは、責任感の強さと物欲に惑わされない慎重さと、未完の大器を思わせるオーラがあるから。
だからこそ、このゲームを終わらせる力があるのでは、と期待してしまったが、政府に抵抗する意志を固めるには情報や時間が足りなすぎて、無理があるのは事実だった。

キッカニスは終始戸惑っている。それはそのまま観客の疑問でもある。
どういった経緯で世界は分割されて、貧困地域はどうして落ちぶれた存在になってしまったのか。
少年少女らの殺し合いを代理戦争代わりにするというバカげたゲームに疑問をもつ、善意のある人間が富裕層にはいないのか。
貧困地域は政府に不満をもっているのに、なぜ誰も反乱を起こさないのか。

ケバケバしい衣装をまといファンキーなメイクに身を包んだ都市部の人間に、また、優勝して戻ってきた故郷での地元民の狂喜乱舞に、一人懐疑的な表情を浮かべ続けるキッカニス。
今回は何よりチームのために、言われるまま本心や本意を隠し続けた彼女。
続編があるにせよないにせよ、あの世界で彼女はただでは終わらないのでは、という予感を示して映画は終了した。

母や妹を叱咤激励し、家族の生活全てを双肩にしょったキッカニスの姿は、そのまま【ウィンターズ・ボーン】に通じるものがあり、これはジェニファー・ローレンスのための映画だとつくづく思った。


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HUNTERS ハンターズ [サバイバル]

★満足度55点

HUNTERS [DVD]

HUNTERS [DVD]

  • 出版社/メーカー: ビデオメーカー
  • メディア: DVD

■演出過剰なB級サスペンス

抑圧された鬱憤が一般市民をハンターへと変貌させる。
冒頭からハンターズの視点で描くことで彼らへの同調を誘い、誰しもがハンターになりえるという事を誇張したいためだけに、矢鱈とモラハラな人物ばかり登場させるのはいかがなものか。
演技も演出も過剰すぎて鼻白む。
登場する警察署長も「あーやっぱりね。」という展開。

また、アフガン帰りの主人公と、偶然出会う美女との「名前」のやりとりが不自然に引き伸ばされ、ラストに持って行きたかったのがミエミエ。

とはいえ古い城塞での息詰まる攻防は若干スプラッターチックでおどろおどろしく、まさにサバゲー。幻覚的な不気味さが終始観るものを不安に陥れるので、観ていて退屈はしない。


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127時間 [サバイバル]

★満足度70点

127時間 ブルーレイ&DVDセット (初回生産限定) [Blu-ray]

127時間 ブルーレイ&DVDセット (初回生産限定) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: Blu-ray


■決断力が凄い

自由気ままに過ごしてきて、家族や恋人との関係を適当に蔑ろにしてきた主人公が、山で裂目に落ちて岩石に腕を挟まれ、にっちもさっちも行かなくなったという、粗筋だけいえば一瞬で終わる話。

はっきりいって、そこからどうするかという主人公の格闘と葛藤と後悔を描いただけの映画だけど、一人称なのにスリリングに飽きさせず描く手法が上手い。
監督お得意のアップテンポの音楽で、ほんの数時間前まで女の子と楽しんでいたり、マウンテンバイクで岩場を疾走していた映像を差し込み、幸せの時間に対して一転、窮地に陥った主人公の「何故俺が?このタイミングで?ここに?」という憤りと絶望を浮き彫りにする。
誰にでも、あのとき、こうしていたら…あのとき、あんなことを言わなければ…などなど、激しく後悔することはある。
だが断崖絶壁の裂け目という超絶孤独な状況におかれたら、後悔というには全然足りない。わたしなどは夜が来ただけで恐ろしくて失神してしまうだろう。

現実逃避してみたり、持てる知識と道具でなんとか絶望を打ち消しつつ、水が底をつき、体力もなくなりかけた時点で、主人公はとうとうある決断をする。
この決断、もし自分だったら…?と思うとぞっとして気持ち悪くなって、このシーンは寝ながら観た(笑)。

トレッキング(というのかな?)の素人だったら、あの後死んでたかも。
彼はガイドをやれる程、様々な知識を持ってたから、出血を止めることもその後のケアも的確だったから助かった。

人を見つけたのになかなか声がでないもどかしさが、見ていて一番苦しかった。
大きな安堵と共に眠りについたが、私だったらあの決断ができたか?と悶々としてしまうのだった。
アレをしている間に、誰かが通りかかるかもしれない…、なとどつい考えてしまうじゃないか。
そしたらなんて間抜ぬけで、勿体無いことをしたと、激しく後悔してしまいそう…などと、楽観的現実逃避をする輩は助からないんでしょうね(笑)
タイムリミットの見極めって、大事なんですね。


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